データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ジャック・シラック・フランス共和国首相夫妻訪日に際しての日本とフランスの共同新聞発表

[場所] 東京
[年月日] 1976年7月31日
[出典] 外交青書21号,64−65頁.
[備考] 
[全文]

1.ジャック・シラック・フランス共和国首相夫妻は,日本国政府の招待により,ジャン・ソーヴァニャルグ外務大臣,レイモン・バール貿易大臣とともに,1976年7月29日から8月1日までの日程で日本を公式訪問した。天皇・皇后両陛下は,シラック首相夫妻に謁見を賜わつた。またシラック首相は,三木武夫日本国総理大臣と会談した。ソーヴァニャルグ外務大臣は,宮澤外務大臣と第13回日仏定期協議を行い,バール貿易大臣は,福田副総理兼経済企画庁長官及び河本通商産業大臣とそれぞれ会談した。

2.フランス共和国首相と日本国総理大臣との会談は,極めて親密かつ相互信頼にあふれた雰囲気の中で行われ,国際問題,日仏関係及び双方の共通の関心事項について意見交換が行われた。

 この会談においては,主要国際問題,特にアジア,ヨーロッパ,中東及びアフリカ情勢が検討され,双方の見解の広範な一致があきらかとなつた。双方は,日仏両国があらゆるレベルでのより緊密な対話を通じ,相互理解と協力を深め,政治,経済,文化及び科学技術の諸分野における両国関係の基礎をより堅固なものとしつつ,その強化と拡大のための努力を継続する決意を表明した。経済分野における双方の共通の目標は,経済関係の均衡的発展を図ることにある。この関連で双方は,両国産業間の協力強化に新たな展望を開きつつあるいくつかの先端的テクノロジーの諸分野,とくに原子力の分野ですでに達成された両国関係の進展に満足の意を表した。

 双方は2国間及び多数国間の場において,経済分野の協力の強化が重要である旨強調した。

 また双方は,両国が関係諸国との協力の下に,インフレなき持続的経済成長を通じ,世界経済の繁栄に貢献するとともに,パートナー間の経済関係の均衡的発展を確保する諸政策をとる決意を再確認した。また先進国と開発途上国との間で行われている対話に積極的に参加し,衡平かつ調和のとれた経済秩序を樹立するとともにこれらの諸国の間に建設的な協力関係を確立する意思を確認した。

 双方は,世界の安定,繁栄及び平和にかかわる諸問題の解決には,すべての国が協調の精神をもつてこれにあたる必要があることを強調した。とりわけ日仏両国は共通の責任に基づき,両国間の協力を発展させ,これらの諸問題の解決により一層貢献する決意である。

3.両国首相は今回の会議が日仏間の友好関係の一層の強化に多大の貢献をした事に満足の意を表明した。

 フランス共和国首相は,日本国総理大臣に対し,フランスを公式訪問するよう招待し,三木総理大臣はこの招待を喜んで受諾した。