[文書名] エーリヒ・ホネカー=ドイツ民主共和国国家評議会議長の訪日に際しての共同コミュニケ
1.ドイツ民主共和国国家評議会議長エーリヒ・ホネカー閣下は日本国政府の招待により,1981年5月26日より同月31日まで日本国を公式訪問した。
2.国家評議会議長は,5月27日天皇陛下と会見した。
3.国家評議会議長は,5月27日鈴木善幸日本国内閣総理大臣と公式会談を行った。会談の同席者は次のとおりであった。
日本側
宮沢喜一 内閣官房長官
山田淳治 駐ドイツ民主共和国特命全権大使
武藤利昭 外務省欧亜局長
ドイツ民主共和国側
ギュンター・ミッターク 国家評議会員,ドイツ社会主義統一党政治局員兼中央委員会書記
オスカー・フィッシャー 外務大臣
ゲルハルト・バイル 閣僚評議会員,外国貿易省第一次官
ホルスト・ブリー 駐日本国特命全権大使
4.右会談において,総理大臣と国家評議会議長は,両国間の社会体制の相違や地理的隔りにかかわらず,1973年の外交関係設定以来,多くの分野において両国関係が着実に発展していることに満足の意を表明するとともに,特に経済,科学技術の分野(産業協力,第三国市場における各種の協力を含む)において両国関係が一層拡大し,多様化するための可能性があることに留意した。
これに関連して,双方は,国家評議会議長の訪日中に両国外務大臣の間で署名された通商航海条約が,今後の両国間の経済関係により長期的な法的基礎を与えるものとしてこれを歓迎した。
総理大臣と国家評議会議長は,両国間の文化交流が進展していることに満足の意を表し,今後もこれを更に相互的に拡大し,もって,両国間の相互理解を一層深めるべきであるとの意見を表明した。
5.総理大臣と国家評議会議長は,両首脳が関心を有する国際問題についても有益な意見の交換を行った。
6.総理大臣と国家評議会議長は,両首脳の会談が両国間に存在する友好関係の発展に多大の貢献を行ったことを認め,国家評議会議長訪日の成果に満足の意を表明した。
7.本邦滞在中,国家評議会議長及び随員一行は大阪,京都,長崎及び有田を訪問した。
8.国家評議会議長は,日本の経済界の指導的要人とも会談した。
9.国家評議会議長は,滞日中,日本政府及び日本国民から示された温かい接遇と歓迎に対し謝意を表明した。
10.国家評議会議長は,総理大臣に対し,ドイツ民主共和国を公式に訪問するよう招待した。この招待は,感謝の意をもって受諾された。訪問の時期については,外交経路を通じて合意されることとなる。