[文書名] 安倍外務大臣のルーマニア公式訪問に関しての共同新聞発表
1.日本国外務大臣安倍晋太郎閣下は,夫人と共に,ルーマニア社会主義共和国外務大臣シュテファン・アンドレイ閣下の招待により,1983年8月3日から同5日まで,同国を公式訪問した。
2.ルーマニア滞在中,日本国外務大臣は,ルーマニア社会主義共和国大統領ニコラエ・チャウシェスク閣下を表敬訪問した。その際,日本国外務大臣は,日本国総理大臣中曽根康弘閣下からの挨拶をルーマニア大統領に伝達した。
ルーマニア社会主義共和国大統領及び,日本国外務大臣は,二国間関係の現状及び拡大の可能性並びに国際問題についての共通の関心事項について広範な意見交換を行った。
3.両国の外務大臣は,友好的かつ相互理解の雰囲気の中で,会談を行った。
両大臣は,両国関係が各種の分野において着実に発展してきたことに満足の意をもって留意し,かつ,双方にとって有益な基盤の上で更に両国関係が深められ,かつ拡大されるよう努力を惜しまないとの決意を表明した。
これに関連して両外務大臣は,ルーマニア社会主義共和国大統領ニコラエ・チャウシェスク閣下及びエレナ・チャウシェスク令夫人の1975年の公式訪日が果たした特別の役割を強調し,また,日本国の皇太子・同妃両殿下の1979年のルーマニア訪問の意義を高揚した。
両大臣は,経済分野における一層の関係発展の可能性を認識しつつ,共通の関心と相互理解の存する分野における協力の促進のため一層の努力を払う必要性を強調した。
両大臣は,また,現在する貿易不均衡は,両国間の貿易全体を拡大する見地から両国が更に努力することによって徐々に克服すべきであることに留意した。
両大臣は,二国間関係発展のための科学及び技術の分野並びに文化の分野における交流の重要性を再確認した。
4.両大臣は,共通の関心を有する国際問題に関し,有意義な意見交換を行った。両大臣は,日本及びルーマニアが国家の独立及び主権,平等の権利,内政不干渉並びに相互利益の原則に基づき,平和のため,また,国際協力を促進するため引き続き努力を払うべきであるとの信念を強調した。
両大臣は,国連憲章に規定されているとおり,国際粉争は,平和的手段により解決されるべきであり,また国際社会において武力による威嚇又は武力の行使は慎むべきであるとの共通の信念を表明した。
両大臣は,欧州における安全と協力を構築する方途において前進が得られることが,全世界の平和,安定及び協力に対し積極的な影響を及ぼすとの見解を述べた。
現下の世界におけるいくつかの主要な問題に言及しつつ,両大臣は,軍縮とりわけ核軍縮を促進するようあらゆる可能な努力を払うとの必要性を強調した。
両大臣は,また,先進国と発展途上国との格差を縮小し,最終的には後発性を一掃する必要があることを指摘した。
国際平和と安全を維持し,すべての国の経済・社会開発を推進するための国連の役割の重要性に留意しつつ,両大臣は,国連の機能強化を支援することを再確認した。
両大臣は,国連及び他の国際機関において,日本・ルーマニア両国が一層緊密な努力を行うことに賛意を表明した。
5.両大臣は,日本国外務大臣の今次ルーマニア訪問が,両国の二国間関係及び相互理解の増進に著しく貢献したことに満足の意をもって留意した。
6.日本国外務大臣は,ルーマニア訪問中に受けた暖かい歓迎と接遇に対し,深い感謝の意を表明した。日本国外務大臣は,ルーマニア社会主義共和国外務大臣が双方にとって都合の良い機会に訪日するよう招待した。右招待は快諾され,訪日の時期については,外交経路を通じて合意されることになる。