データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国内閣総理大臣及びドイツ連邦共和国首相による「東京声明」

[場所] 
[年月日] 1983年11月1日
[出典] 外交青書28号,466−467頁.
[備考] 
[全文]

1.我々は,1983年5月29日ウィリアムズバーグにおいて採択された政治声明,とりわけ,同声明においてサミット参加国の安全は不可分であり,グローバルな観点から取り組まなければならないことが合意されたことを再確認し,この政治声明の精神に沿って,日米西欧等,自由世界の連帯と結束の上に,他の諸国と協力して自由と平和と安定の維持・確保,世界経済の繁栄及び第三世界の発展のために不断の努力を積み重ねてゆくことを宣言する。

2.最近の国際情勢をみるに,東西関係の緊張の増大に加えて,世界各地において地域的紛争,あるいは暴力事件が頻発しつつあるところ,かかる傾向が継続し,増幅する場合には,世界平和に対する重大な脅威ともなりかねない。

3.今日,世界各国は,今までにも増して人類共同の責任に思いを至して,このような情勢にいかに対応し,自由と平和と安定を確保し,世界経済の再活性化を図り,諸国民の繁栄を確保するかについて,決意を新たにすることが必要であると信ずる。

4.我々は,国際的な紛争あるいは懸案に関しては,話合いのテーブルについて相互に相手の主張に真摯に耳を傾け,理性に基づく対話と交渉により,意見の対立を和らげ,かつ,克服するよう常に努力を続けていくべきであると確信する。

5.当事者は,終局的合意をもとめて着実かつ現実的な努力を行うものとし,究極的目的達成のための段階的措置あるいは漸進的解決策の探究をいとってはならないと信ずる。

6.我々政治信条を同じくする諸国は,自由と平和を守るために,西側の連帯と結束の下に毅然として対処し,そのために払うべき艱難をいとうものではないことをここに改めて決意する。