データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] メイジャー英首相との共同記者会見における細川内閣総理大臣の冒頭発言

[場所] 
[年月日] 1993年9月20日
[出典] 細川内閣総理大臣演説集,73−74頁.
[備考] 
[全文]

 それでは始めさせていただきますが、二時間程メイジャー首相をはじめ英国の代表の方々と胸襟を開いてお話をして参りました。はじめに、メイジャー首相は公賓としてわが国を訪ねられた、この新内閣が出来てから初めての首相でございますし、心から歓迎の言葉を申し上げたところでございます。

 日英関係全般に亘ってそれぞれに重要なテーマをお話し致しましたが、この両国関係というものがお互いにとって極めて重要なものであるということを改めて確認し合ったところです。二国間関係は既に政治・経済・文化、それぞれに歴史的にも良い関係を築き上げてきておりますが、更にこの関係が成熟したものになっていくように、お互いに取り組んでいこうということで、合意致しました。

 例えば、経済面では、「オポチュニティ・ジャパン」であるとか、或いは「プライオリティ・ジャパン」であるとか、そうしたプロジェクトが進められておりますが、更にこうしたプロジェクトを、今後の経済発展のために、拡大的な均衡のために、このプロジェクトを進めていこうということについても、合意したところであります。

 それから、新しい時代の日本と英国をテーマとしたシンポジウムが来年の一月にロンドンで、日英二〇〇〇年会議が提唱されて、行われることになっておりますが、そのシンポジウムに出来れば羽田副総理・外務大臣に出席して頂いて、そこでハード外相とともに基調スピーチをして頂く、そしてまた、その際に日英外相会談も開くことが出来ればと願っているところであります。その点についてもそのような方向で進めていこうということでお話し致しました。

 それから、知的な交流を進めていくという観点から、日英の若手の外交官の交流についても進めていこうということで合意を得たところです。GATTのウルグアイ・ラウンドについても、年内に成功裡に終結するように努力をしていくということを確認し合いました。

 それから、英国人の元戦時捕虜の問題につきましても、法的には既に両国間で決着済みだということを確認致しましたが、私の方からは日本の過去における行為が、多くの方々に、戦時捕虜を含む多くの方々に、深い物を与えたということについて、深い反省とお詫びの気持ちを改めて申し上げたところです。

 それから、最後に、日英関係の過去と現在というものを見据えて、より成熟した関係にとり進めていこう、両国とも努力をしていこう、ということを確認し合いました。大変有意義な会談であったと評価致しております。