データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] サンテール欧州委員会委員長歓迎晩餐会における橋本内閣総理大臣の挨拶

[場所] 
[年月日] 1996年10月3日
[出典] 橋本内閣総理大臣演説集(上),463−464頁.
[備考] 
[全文]

ジャック・サンテール欧州委員会委員長閣下

ご列席の皆様

本日ここに委員長閣下並びにご一行の皆様をお迎えし、夕食会を催す機会を得ましたことは、私の心から喜びとするところであります。日本政府及び国民を代表して衷心より歓迎の意を表します。

ブルートン欧州理事会議長をもお迎えした先般の首脳協議では、議論が白熱し、ここに同席している池田外務大臣にブリタン副委員長と別室で話を続けてはどうかと申し上げたほど盛り上がりましたが、私自身、閣下との一連の会談を通じ、日本とEUとの「対話と協力」に基づくパートナーシップを確認でき、誠に有意義な会談であったと思います。

また、この晩餐会の直前には閣下と膝を交えて、日本とEUの将来について語り合いました。日本とEUは、「変革への挑戦」という共通の課題に取り組んでおります。EUは、その深化と拡大という歴史上壮大なる実験に取り組んでおり、日本もまた、政治、行政、経済の各般にわたり、自己変革に懸命に挑戦しております。日本とEUは、「対話と協力」を横糸とし、この「変革への挑戦」との共通項を縦糸として、友好関係を発展させていきたいと考えます。

今後は更に「面の広がり」を持つ新たな日・EU関係の姿に注目していく必要がありましょう。これは、本年三月のアジア欧州会合に象徴されるような、アジアと欧州という二つの地域の間の協力が進んでいく時代にあって、日・EU関係をいかに活用していくべきかという課題であります。

閣下は明日日本を発ち、その足で明後日の臨時欧州理事会に出席される大変ご多忙な身でありますが、今宵は是非くつろいでいただき、日本の各界の方々との交流を更に深められんことを希望いたします。

ご列席の皆様、サンテール委員長閣下のご健康とEUの一層の発展、また、日・EU関係の更なる発展を祈り杯を上げたいと思います。

乾杯。