[文書名] 21世紀に向けての日英共通ヴィジョン
橋本総理大臣とブレア首相は、本日、東京において第2回目の二国間会談を行った。第1回会談は昨年6月に行われ、その際両首脳は、少なくとも年1回の会談を行うことを決定した。
両首脳は、日英両国間には幅広い協力のプログラムがあり、日英関係がかつてないほど緊密であることを確認した。このことは、本年5月、天皇皇后両陛下の英国への公式訪問により象徴される。
本日、橋本総理大臣とブレア首相は、21世紀を迎えるに当たり、より良い世界を築くために、両国政府がグローバルな協力関係を深めていくと述べた。
1.未来への改革と投資
両首脳は、より思いやりがあり、しかもより効率的な社会を建設したいと希望する。それは、正義、公正及び創造性に価値を置く社会でもある。この目的のために、両国政府は、教育及び社会保障制度における改革を導入し、同時に、科学技術の発展及び雇用機会の拡大を促進している。橋本総理大臣とブレア首相は、改革プロセスは短期的に痛みを伴うが、将来の繁栄のために、活力に富み開放的な経済を築くことの重要性を確認した。
両首脳は、両国の政府外の人々によっても、両国共通の問題に関する議論が行われることの重要性を認識した。両首脳は、両国関係の発展に顕著に貢献してきた日英2000年委員会の活動を高く評価した。
橋本総理大臣とブレア首相は、人と人との連携を促進することを特に重視している。両首脳は、日英両国の青年の間で増大しつつある文化交流を歓迎した。これは特に、3、800人もの英国青年が既に日本において1年あるいはそれ以上の期間を過ごしているJETプログラムの成果である。ブレア首相により本日開幕された日本における英国祭り98及び2001年に開催が計画される英国における日本祭りは、このような交流をより一層促進するものであり、両国政府は、これを支持している。両首脳はまた、日英両国の非政府団体(NGO)の間に、より強固な関係が築かれるよう希望することを強調した。
2.アジア欧州関係の強化
英国政府は、着実に統合の拡大と深化を進めつつある欧州連合(EU)が、強く有効なものとなることにコミットしている。日本政府は、最近の金融不安定にもかかわらず引き続き高い経済的潜在力を持ったアジアにおける協力関係を強化するために力を注いでいる。両首脳は、地域協力は、外向きであり、多角的貿易体制を強化するものでなければならないとの見解を共有する。両首脳はまた、アジアと欧州の両地域が世界の安定と繁栄に貢献できるよう、両地域間のより緊密な関係を促進することを重視する。
両首脳は、この関連で、アジア欧州会合(ASEM)の重要性を強調した。両国政府は本年4月にロンドンで行われる第2回アジア欧州会合の成功を確保するため協力する。
3.より良い地球社会の実現に向けて
両国政府は、思いやりのある国際社会において生活の質を向上することにコミットしている。このために、改革され強化された国連と開かれた国際経済が不可欠である。ブレア首相は、日本が国連安保理の常任理事国となることへの英国の支持を確認した。両国政府はまた、世界貿易機関(WTO)を通じた更なる広範な貿易自由化を重視する。両首脳は、次の重要性を確認した。
−人権、民主主義及び文化的多様性の尊重
−貧困の撲滅及び持続可能な開発の促進
−環境、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散、対人地雷、安定を損なう通常兵器の移転と蓄積、テロ、国際組織犯罪、難民、寄生虫症を含む感染症などの地球規模問題への取組
−地域・民族紛争の除去
橋本総理大臣とブレア首相は、日英両国間の特別なパートナーシップを強化し、日英行動計画を通じた両国間の協力を促進させていくことを再確認した。日英行動計画は、ここに記された諸目標を達成させるために両国が共にとっている具体的な措置を記したものである。