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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第8回日・EU定期首脳協議に関する日・EU共同プレス発表

[場所] ボン
[年月日] 1999年6月20日
[出典] 欧州連合(EU)駐日欧州委員会代表部
[備考] 仮訳
[全文]

ゲアハルト・シュレーダー欧州理事会議長、小渕恵三日本国内閣総理大臣、ジャック・サンテール欧州委員会委員長は、1999年6月20日、ボンに於いて第8回日・EU定期首脳協議のために会合した。

この首脳協議では、日・EU首脳は日本とEUの間の相互依存が増大していることを認識し、自由、民主主義、法の支配、人権の尊重への共通のコミットメントに基づき、アジア、欧州において、また世界的に、平和、安定及び繁栄を促進するため、新たな千年紀において日・EU間のパートナーシップをさらに拡大、深化させる意向を表明した。

日・EU首脳は、これらの目的は、日・EU間の政治対話の強化及び経済・貿易関係の拡大並びに協力の促進により、達成されることを強調した。

今次首脳協議の主要点は次の通りである。

政治協力の強化

コソヴォについて、日・EU首脳は、この紛争が次々と人々にもたらす惨禍に対処する上での緊密な協力を歓迎した。日・EU首脳は、南東欧安定協定の重要性を強調した。この協定を策定というEUのイニシアチブに応え、日本側はその実施に積極的に貢献する意向を表明した。EU側は、コソヴォ難民と周辺国に対する日本側の支援の供与を、欧州の平和と安定に対する日本側のコミットメントの表明として、歓迎した。

日・EU首脳は、関係する他のパートナーと協調しつつ、北朝鮮への関与の政策、特に朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への継続的な支援を通じ、朝鮮半島に於いて平和と安定を共同で促進する必要性を強調した。

日・EU首脳は、ロシアが政治・経済改革を継続する必要性を強調した。日・EU首脳は、ロシアの政治・経済移行プロセスを支持するとのコミットメントを確認し、技術協力がロシアのこのような取り組みを支援する上で重要な役割を果たし得ることを強調した。

日・EU首脳は、インドネシアの選挙の結果が同国の政治的安定及び経済回復に向けての決定的な第一歩となるであろうことについての確信を表明し、今後ともインドネシアへの支援を行う意向を強調した。

日・EU首脳は、東チモールに関する国際連合での合意が適切に実施され、それにより東チモールの人々が直接投票において自由且つ公正に投票できることに対する希望を表明した。

日・EU首脳は、アムステルダム条約がEUの共通外交・安全保障政策を強化するとの認識の下に、相互の外交政策上の目的を進展させるために新たな具体的共同イニシアチブを策定する意向を表明した。日・EU首脳は、最近東京において開始されたEUと日本の間の新しい形の非公式な政治対話を歓迎した。

経済・貿易関係の拡大

日・EU首脳は、世界市場における金融安定化につながる政策を促進する必要性を強調した。日・EU首脳はユーロの成功裡の導入と円の国際化を強化するための日本側の諸策とを歓迎した。日・EU首脳は、欧州における経済・通貨統合が、経済・金融政策の分野で日・EU間の更なる協力のための新たな機会を切りひらくものであることを認識した。

日・EU首脳は、一部のアジア経済の構造改革を促進するための適切な経済支援の提供を継続する意図を強調した。EU側は、特に、アジア諸国の国際資本市場へのアクセスを強化するための新宮沢構想を歓迎した。

日・EU首脳は、経済回復のための健全な基盤を提供する目的で、金融システムの強化及び内需の刺激を通じた経済の安定化のために日本側により講じられた諸策を歓迎した。日・EU首脳は、構造改革の諸措置が、長期的な成長の確保、市場の透明性及び効率性の強化、外国投資・貿易のための環境改善を行う上で主要な役割を果たし得るものであることを指摘した。

日・EU首脳は、マクロ経済的要因が日・EU間の貿易・投資不均衡の拡大の主要な原因である一方で、また、市場アクセスの改善が、双方の利益となるより良好なビジネス環境を促進するものであることにつき意見が一致した。

日・EU首脳は、成功を収めている双方向の規制緩和対話を、双方が関心をもつ優先事項に焦点を当てるとともに、特に、日・EU閣僚会議の機会に進捗状況を定期的にレビューすることによって、深化させる意図を表明した。

日・EU首脳は、WTOにおける緊密な協力関係及び見解の一致を歓迎し、WTO多角的貿易交渉の包括的な次期ラウンドの開始において双方が果たしている主導的な役割を更に発展させていく意図を表明した。日・EU首脳は、特にASEMプロセスを利用して、他の諸国の新ラウンドへのコミットメントを促すよう共同していくことを確認した。日・EU首脳は、多角的経済システムにおいては根拠をもたない一方的措置に反対することを強調した。日・EU首脳は、中国を含む候補国とのWTO加盟交渉を、商業的に意味のある条件で、できるだけ早急に終結させるよう支援していくことを強調した。

日・EU首脳は、電気用品、通信機器、化学品及び医薬品の分野における適合性評価に関する日・EU相互承認協定の主要な要素について双方の代表団によって合意が達成されたことを歓迎した。日・EU首脳は、本協定が日・EU間の貿易の促進に資することに留意し、本協定が承認のため各々の立法機関に提出され得るよう、残りの作業を迅速に完了する必要性を強調した。

日・EU首脳は、日・EUビジネス対話の強化に向けてそれぞれのビジネス界によって達成された進展を歓迎した。日・EU首脳はまた、日・EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブルを設立するとの最近の決定を歓迎するとともに、二国間及び多国間での貿易・投資を促進するために、このフォーラムがより効果的で幅広い民間部門による政策へのインプットにつながるよう支持を表明した。

日・EU協力の促進

日・EU首脳は、例えば、特に、自動車から排出されるCO2削減を含む、気候変動の分野において、地球的規模の環境目的を達成するため、個人データ保護に関する議論を強化するため、また、科学技術分野における関係を深化させるために、継続して緊密に共同していくことなど、全ての分野にわたって協力を更に発展させていくことが望ましいことを強調した。