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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日・EU定期首脳協議関連−第10回日・EU定期首脳協議共同プレス・ステートメント

[場所] ブリュッセル
[年月日] 2001年12月8日
[出典] 外交青書45号,303頁.
[備考] 仮訳
[全文]

 2001年12月8日、ベルギーのブラッセルにおいて第10回日・EU定期首脳協議が開催された。この定期首脳協議において、ギー・ヴェルホフスタット・ベルギー首相(欧州理事会議長)及びこれを補佐するハビエル・ソラナEU共通外交安全保障政策上級代表、並びにロマーノ・プローディ欧州委員会委員長は、小泉純一郎日本国内閣総理大臣と会談した。日・EU首脳は、協議が極めて良好な雰囲気の中で行われ、重要な議題について意義深い成果を達成できたことに満足の意を表明した。これは、1991年の日・EC共同宣言の採択以降、日・EU関係の強化において極めて大きな進展があったことを強調するものであった。

 日・EU首脳は、包括的な「日・EU協力のための行動計画」を承認した。これは双方に「日欧協力の10年」を構築するための基礎を提供することにより、日・EU関係進展に新たなはずみをつけるものである。日・EU首脳は、「行動計画」の4つの重点目標、即ち、平和と安全の促進、経済・貿易パートナーシップの強化、地球規模の問題及び社会的課題への挑戦、人的・文化的交流の促進を追求することにより、「行動計画」の実施に着手することを約した。今後の定期首脳協議において、「行動計画」の実施状況が再検討され、必要に応じ改訂される。

 日・EU首脳は、その他多くの国際政治問題について再検討した。特に、日・EU首脳は、アフガニスタンにおける和解及び復興への支援を強調し、12月にブラッセルで開催されるアフガン復興支援運営委員会及び1月に東京で開催されるアフガン復興支援閣僚級会合を成功させるため緊密に協力することとした。日・EU首脳は、包括的な支援ニーズのアセスメントを完了することが緊要であることを強調した。日・EU首脳は、また、それぞれがこの地域の国々を支援するために行っている措置につき協議した。

 日・EU首脳は、テロとの闘いにおける国際社会の結束が重要であることに特に留意した。日・EU首脳は、9月11日以降にそれぞれが執った具体的な措置につき協議し、多国間機関の枠組み及び日・EU間でこの分野における協力を迅速に進めることを約した。この点に関し、日・EU首脳は、「テロに関する共同宣言」を発出した。

 日・EU首脳は、主要国経済の同時減速と世界貿易の急速な下降という国際経済情勢について協議した。この点に関し、日・EU首脳は、WTOドーハ閣僚会議の成果を歓迎し、新ラウンド立ち上げ支持のために形成された連携における良好な協力関係に対する満足の意を確認した。日・EU首脳は、閣僚宣言に示された包括的な作業計画に基づく交渉の成功を確保することによって、更なる貿易の自由化とWTOルールの強化のための共同の努力を続けていくことで意見の一致をみた。日・EU首脳は、世界的な経済の安定を促進し、21世紀の課題に対処するとともに、持続可能な開発の目標を支援し、技術支援とキャパシティ・ビルディングのイニシアティブを通じて開発途上国を世界経済に統合するよう、努力を行っていく。

 EU首脳は、日本における構造改革の推進が日本経済及び世界経済全体の回復のために必須であるとの考えを表明し、日本の現在の経済改革努力に対する強い支持を表明した。小泉総理は、ユーロの導入、EUにおける拡大の動き及び進行中の構造改革が、EU経済のみならず世界にとっても重要かつ前向きなはずみを与えることにつき、期待を表明した。

 この点に関し、日・EU首脳は、最近締結した相互承認協定の実施等の措置を通じて双方向の貿易及び投資が一層促進されるべきことを強調するとともに、小泉総理は、今後の欧州企業による一層の対日投資を歓迎した。

 日・EU首脳は、特に日・EU間の知的・人的交流を強化することの特別の重要性を確認し、来年、日欧双方においてこのテーマに関するシンポジウムを開催するという日本のイニシアティブ、及び、東京で開催予定の投資シンポジウム等の日・EU双方による友好関係促進のイニシアティブを歓迎した。