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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第11回日・EU環境高級事務レベル会合

[場所] 東京(外務省)
[年月日] 2008年3月17日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 3月17日、第11回日・EU環境高級事務レベル会合が東京(外務省)にて開催された。日本側は小町地球環境問題担当大使が、EU側はジョス・デルベク欧州委員会環境総局次長が共同議長を務めた。環境分野における日・EU双方の関心事項について幅広く意見交換を行い、気候変動分野等において日本とEUが主導的な役割を担っていることから、今後とも一層協力関係を深めていくことで双方の認識が一致した。

1.会合開催の背景

 本会合は、1991年7月に発出された「日・EC共同宣言」にて、環境分野における日・EC協力が明記されたことを背景に発足した。1992〜1999年まで計8回開催された後、日程調整の都合等により開催されていなかったが、2005年5月に開催された第14回日・EU定期首脳協議の際の共同プレス声明において、次回日・EU定期首脳協議までに重点を置く措置のひとつとして、「日・EU環境高級事務レベル会合の次回首脳協議までの開催」と言及されたことを受け、2006年に第9回会合が7年ぶりに開催された。今回会合は、2007年の第10回会合に引き続いて開催された。

2.概要

(1)気候変動問題

 日・EUより、平成19年12月のバリ会議(気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)・京都議定書第3回締約国会合(COP/MOP3))の評価等を含め、それぞれの政策について説明し、次期枠組み構築に向けて意見交換を行った。その際、EU側より、一定の条件付きではあるが、セクター別アプローチは有益なアイデアであるとの認識が示された。

(2)水と衛生

 2月2日に高村外務大臣が我が国の政策に関するスピーチを行ったところ、日本側より右について説明。欧州委側より、本分野で日本がリーダーシップをとっていることに対する支持と日本に対する協力が表明された。

(3)廃棄物とリサイクリング、グリーン調達

(イ)欧州委側より、日本がG8議長国として、3Rを含めたイニシアティブをとっていることに対し支持を表明。また、G8環境大臣会合に向けて日・EUが協力していくことで一致。

(ロ)グリーン調達について、日・EUがそれぞれの取組について情報交換するとともに、グリーン調達基準のあり方等について意見交換を行った。

(4)生物多様性

(イ)欧州委側より、G8議長国としての日本のイニシアティブに支持を表明。今後、日・EUが協力することで一致。また、2010年の締約国会議の日本への誘致を含め、ボンで開催される本年の締約国会議に向け、日・EU間で協力することを確認。

(ロ)違法伐採問題について、欧州委側より日本の取組への支持と協力を表明。特に合法性の定義や証明など、違法伐採を市場から排除するための技術的な側面、制度や仕組み作りについて日・EUが協力して取り組んでいくことで一致。

(5)国際社会における協力の強化

(イ)国際環境ガバナンスに関し、新たな機関創設の必要性について日・EUのそれぞれの考えや立場について意見交換が行われ、合理化や効率化を通じガバナンスを強化することが重要であるとの点で一致。

(ロ)欧州委側より、持続可能な開発のための教育(ESD)に関する我が国の取組への支持を表明。日・EUが本分野で協力することで一致。