[文書名] 「V4+日本」共同声明 21世紀に向けた共通の価値に基づくパートナーシップ
2013年6月16日,ワルシャワにおいて「V4+日本」首脳会合が成功裡に開催された。V4にとっては,「V4+域外国」首脳会合をアジアの国と行うのは初となる。会合では,「V4+日本」協力立ち上げ10周年を祝した。同会合へは,ペトル・ネチャス・チェコ共和国首相,ヴィクトル・オルバーン・ハンガリー首相,安倍晋三内閣総理大臣,ドナルド・トゥスク・ポーランド共和国首相及びロベルト・フィツォ・スロバキア共和国首相がそれぞれの国を代表して出席した。
V4及び日本国(以下,「双方」)は,将来における相互関係を高めるため更なる措置をとることを目指し,協力及び共通の活動の範囲を再検討した。
双方は,10周年を祝賀し,緊密な関係を更に強化することを目的として,2014年を「V4+日本」交流年とすることを決定した。
双方は,民主主義,法の支配,人権,自由及び市場経済といった普遍的価値及び原則を共有していることを認識し,V4諸国と日本国の間の協力は,日・EU間戦略的パートナーシップにとって不可欠であるとともに,同パートナーシップに確かな付加価値を与えるものであると指摘した。
I 普遍的価値により結ばれた平等なパートナー
双方は,普遍的価値を共有し,平等なパートナーとして一連の国際問題に共に取り組むV4と日本国が,「21世紀に向けた共通の価値に基づくパートナーシップ」と称される新しい次元の協力関係に達したことを確認した。
双方は,普遍的価値を共有する諸国のパートナーシップが世界の平和と繁栄にとって重要かつ必要となっていることを再確認した。日本国は,V4が1990年初頭に民主化を成功裡に成し遂げ,2004年にEUに加盟し,EU内において,特に東欧諸国への民主化を進める主導者として主要な役割を果たしていることを高く評価した。
民主主義及び法の支配へのコミットメントを共有する日本国及びV4諸国は,国際関係及び世界経済の中で,良い統治及び規則に基づく協力を促進する努力を共に行っていく用意があることを表明した。
東方パートナーシップの重要性
日本国は,東欧諸国の民主化及び市場経済化に資するEU東方パートナーシップ政策への支持を表明した。双方は,日本国とEUが,民主主義,法の支配,人権及び基本的自由に係る協力の可能性を更に探究していくことに共通の関心を有していることを認識し,「V4+日本」協力を通じて,日EU関係を発展させていく強い意欲を表明した。
日本国は,改革及び体制転換の経験を東欧諸国と共有するとのV4のコミットメントと,国際ヴィシェグラード基金により計画される「V4東方パートナーシップ」(V4EaP)というV4のイニシアティブを歓迎した。このプログラムは,東方パートナーシップ対象国の体系的な体制移行及び民主化を促進するものである。国際ヴィシェグラード基金により実施されるV4EaPは,日本国とV4による将来的な共同プロジェクトの適切な基盤となり得るものである。双方は,2013年2月に学校法人城西大学と共催で東京にて開催したセミナー「ヴィシェグラード・グループと日本-共に東方パートナーシップに向けて-」とオープン・ディスカッションが,日本国とV4との間での東方パートナーシップについての協力の強化に資するものであったと評価した。
日本国は,将来的な協力の強化に向けて,2013年11月にビリニュスで開催される東方パートナーシップ(EaP)サミットに,ハイレベルの代表者を派遣する意向がある。
政府開発援助(ODA)協力
V4は,世界の途上国,特に東方パートナーシップ対象国に対する日本国のODAを評価する。日本国は,V4諸国が世界のドナー・コミュニティの不可欠な一部となった事実を歓迎する。双方は,民主主義や市場経済を世界で促進することに引き続き関与していくことを再確認した。双方は,開発協力における知見と経験を共有し,またEaP対象国でのODAの経験を共有するための効率的な方法を特定していく意図を表明した。これに関連し,双方は,EaP対象国及び西バルカンにおけるODAに関する既存の経験の共有を目的として,ODAセミナーを開催する意図を表明した。さらに,日本国は,EaP対象国における日本国のODA関連情報を伝達する効率的なメカニズムを築くことを目的として,全てのV4各国にある日本国大使館内にリエゾン・オフィサーを指名することを発表した。V4は,日本国のイニシアティブを歓迎するとともに,自らのODAプログラムを協調させていく用意があることを表明した。
関連する機関との協力
日本国は,V4が民主主義共同体,民主化移行国際センター及び民主主義のための欧州基金において果たしている役割を高く評価した。V4は,日本国が民主主義共同体や他の国際分野において積極的に果たしている役割を強調した。
II 安全保障分野における協力
双方は,グローバル及び地域規模の安全保障問題について議論した。双方は,グローバルな安全保障の促進及び構築に向けて,国連,EU,北大西洋条約機構(NATO),そして他の多国間機関において協力していくコミットメントを改めて表明した。双方は,大量破壊兵器,テロリズム,サイバーテロリズム,ミサイル及びミサイル技術の拡散,組織犯罪及び武器の違法な移転が,国際的な安全保障及び経済にとって重大な脅威となっていることを強調した。
双方は,国際法及び航行の自由と安全に基づき,海洋の秩序を維持する重要性を改めて確認した。双方は,海洋は全ての人々の共有物であることから開放され,自由で安全であるべきとの点を強調するとともに,国連海洋法条約を含む国際法に基づき,これらの原則が維持される重要性を強調した。
双方は,共通の安全保障上の関心として,日本国と北大西洋条約機構(NATO)の関係の発展を歓迎した。この精神において,双方は,双方の関心地域における共通のグローバルな挑戦において,政治対話及びより実際的な協力を高めていくとのコミットメントを改めて表明した。また,双方は,欧州安全保障協力機構(OSCE)とその協力パートナーが,欧州・大西洋,ユーラシア地域,そしてアジアや地中海地域における安全保障を促進する上で,補完的な役割を担っていることを確認した。また,双方は,共通安全保障防衛政策(CSDP)の下でEUにより行われる危機管理及び紛争後の平和構築活動が,紛争から立ち直る国々にとって非常に重要であることを確認した。
双方は,東アジアの安定と発展は,国際社会全体の平和と繁栄にとって必要不可欠との見解を表明した。双方は,東アジアと欧州の安全保障環境は,緊密に相互連関していることを認識し,各地域におけるそれぞれの安全保障上の懸念に対する相互理解を高めることを決意した。双方は,特に海洋分野における国際法の原則を重視する重要性につき一致した。この関連において,双方は,東アジア地域において武器,汎用品及び技術の効果的な輸出管理を維持する重要性を確認した。
双方は,ウラン濃縮計画を含む北朝鮮の核・ミサイル開発計画に対して重大な懸念を表明するとともに,北朝鮮による2013年2月12日の核実験と2012年4月及び12月のミサイル発射を,関連する国連安保理決議の明確な違反として,最も強い表現で非難した。双方は,北朝鮮に対し,決議第2094号を含む関連する国連安保理決議及び2005年の六者会合共同声明を完全に実施し,非核化に向けた具体的行動を取るよう求めた。また,双方は,北朝鮮における人権侵害に対する懸念を表明するとともに,北朝鮮に対して,拉致問題を含む国際社会の人道上の懸念に遅滞なく取り組むよう強く求めた。
双方は,2014年以降の安定し,平和で自立したアフガニスタンの構築に向けた努力を支援するコミットメントを改めて表明した。V4と日本国は,サヘル地域,中東及び北アフリカにおける最近の進展を考慮し,同地域の安全保障及び人道的状況についての懸念を共有する。V4と日本国は,イランの核計画に関して,イランがその核計画の平和的性格に対する国際的信頼を取り戻すために国際原子力機関(IAEA)や国連安全保障理事会(UNSC)の関連決議を含む国際的義務に,これ以上の遅滞なく完全に従う必要性を改めて確認した。双方は,イラン核問題の包括的な交渉による長期的な解決を追求するEU3+3による協議への支持を強調した。
双方は,安全保障分野における協力を深化させることを目的とし,2013年7月から始まるハンガリーV4議長国期間中に「V4+日本」安全保障セミナーを開催する意図を表明した。
国連における協力
双方は,特に安保理改革を重視しつつ,全ての側面での国連改革の重要性を改めて確認した。双方は,今日の国際社会の現実を反映するために,実効性,透明性及び代表性を改善する必要性を強調した。この点について,双方は,安保理常任理事国及び非常任理事国の双方の議席の拡大を含む安保理改革達成に向けて協同する意志を改めて表明した。
III 経済,科学技術,イノベーション分野における協力
双方は,経済,科学技術及びイノベーションの分野における成果重視の協力を発展させる共通の目標を有していることを改めて表明した。日本国は,ダイナミックに発展しているV4の市場が,日系企業に魅力的な機会を提供していることを評価し,V4は,V4市場で操業する日系企業が雇用創出に貢献していることを評価した。V4は,各分野における協力を促進していく上で,IVFが果たす役割の重要性を強調した。
エネルギー及び気候変動分野での協力
双方は,原子力エネルギー,環境,省エネルギー及び再生可能エネルギーなどの分野における双方の取り組みの成果について議論した。双方は,前述の分野における相互の協力を深化させていくことへの高い関心を表明した。日本国は,東京電力福島第一原子力発電所事故から得られた知見と教訓を共有することにより,世界規模で原子力安全を強化することに貢献するとの自らの責務を再確認した。双方は,それぞれの民間部門から,原子力エネルギー及び原子力安全に関する協力の具体的な態様に高い関心が示されていることを歓迎した。V4諸国は,エネルギー効率に関する協力の更なる機会を探究するために,2013年秋にワルシャワで日本国とポーランドにより開催されるGSEP(グローバルで優れたエネルギー性能に関するパートナーシップ)セミナーに招待されている。
双方は、特に2013年11月にワルシャワで開催される気候変動枠組条約締結国会議に関連して、2015年までにすべての締約国に適用される公平かつ実効性のある新たな国際的枠組みを実現するために、建設的態度で国際的な気候変動交渉に協力していくとのコミットメントを表明した。
貿易投資の拡大と中小企業に関する協力
双方は,貿易投資及び中小企業に関する意見交換を含む経済関係の強化は,日本国とV4との全体の関係を維持発展させていく上で必要であると確信している旨表明した。
双方は,包括的な日EU経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)が,日本国及びV4各国企業の市場アクセスを改善し,それにより双方の経済関係が強化されることを再確認した。
科学技術及びイノベーション分野での協力
科学技術及びイノベーションの分野における協力を包括的に進めていくことは,双方にとって相互に利益となる。V4は,これらの分野における協力を進めていく上で,国際ヴィシェグラード基金が果たす重要な役割を強調した。双方は,独立行政法人科学技術振興機構(JST),国際ヴィシェグラード基金(IVF)及びスロバキア科学アカデミー(SAS)の努力により,2013年7月にスロバキアにて「SAS-IVF-JSTワークショップ」が開催されることを歓迎した。
IV 人的交流促進のための2014年「V4+日本」交流年
双方は,文化,貿易,観光といった種々の分野で,政府及び民間団体が力を合わせ,人的交流を促進させることの重要性を強調した。双方は,2014年の「V4+日本」交流年を促進させるため,親善大使を任命する考えを支持する。
東日本大震災後のV4の連帯
2011年3月の東日本大震災後にV4が提供した精神的及び物質的な支援により,双方の間の緊密な連帯が確認された。日本はV4諸国の政府及び国民から得た支援に対する心からの感謝の意を表明した。V4は,迅速な復興が遂げられた震災後2年間の日本国民及び日本国政府の勇気と回復力に賞賛の意を表明した。
双方は,復興の取組を加速することを目的として,双方の間の貿易が更に拡大するために,日本国が食品安全及び被災地域における現在の放射線水準に関する十分な情報を遅滞なく提供し続けることが重要であることを認識した。
文化と教育
双方は,双方の政府及び民間団体が,相互の文化普及に向けた種々の活動を通じて相互理解を深めるための努力を行っていることに多大な感謝の意を表明した。V4は,世界において日本文化の理解を促進させることを目的とした日本国の「クールジャパン」政策を賞賛した。双方は,特に中央能楽文化協会が,若い世代の専門家を育て,学生交流を促進させる努力を行っていることを歓迎した。
双方は,語学教育及び学生交流の発展に向けた各教育機関の努力を評価する旨表明した。双方は,日本国の種々の機関で,V4各国の言語クラスがますます多く提供されるようになったことを歓迎した。双方は,国際交流基金ブダペスト日本文化センター,クラクフの日本美術技術博物館,ブラチスラバのコメニウス大学,プラハのカレル大学に対し,V4諸国において引き続き日本語や日本文化教育の質を高める上で積極的な役割を果たすよう奨励した。
双方は,更なる相互理解を図る手段として,各国において観光促進を支援する意図を表明した。
青少年間の更なる交流
青少年間の交流は,双方の将来の関係を強化する上で礎となる。この観点から,双方は,人的交流と青少年間の交流を更に促進させるワーキング・ホリデー制度の意義を強調した。
V将来の対話
双方は,種々の対話を通じて,共通の価値に基づくパートナーシップを更に発展させる強い意欲を表明した。
日本国とV4は,相互理解と協力を更に深めるため,「V4+日本」首脳会合及び外相会合を通じてハイレベルの対話を定期的に続けていく重要性を確認した。
双方は,V4諸国内における更なる協力を検討することを目的とし,V4議長国とV4各国駐箚日本大使間及び日本国の関係部局と日本駐箚V4各国大使間で,定期的な協議を行う意向を表明した。
さらに,双方は,国際情勢の相互理解を深めることを目的とし,「V4+日本」政策企画対話を立ち上げる意向を表明した。
日本側は,次期V4議長国のハンガリー首相を訪日招待し,同首相訪日の間に,今次「V4+日本」首脳会合をフォローアップする旨表明した。