データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 共同プレスステートメント 第6回「V4+日本」外相会合

[場所] ルクセンブルク
[年月日] 2015年11月5日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

 2015年11月5日,V4諸国及び日本(以下,「V4+日本」)の第6回外相会合が,ルクセンブルクにおいて開催された。各国外相は,「V4+日本」のパートナーシップが自由,民主主義,人権及び法の支配の共通の価値に基づいていることを再確認した。各国外相は,共通の価値及び共有する原則に基づく日本とEUとの緊密なパートナーシップも再確認した。2013年11月のデリーにおける前回会合以降の国際情勢及び地域情勢の進展と日本とV4の協力の進展を踏まえ,各国外相は以下の事項について議論を行った。

I 地球規模の課題

難民問題/中東問題

 各国外相は,難民庇護申請者と,EUに到達しようという彼らの試みの増大につながっている前例のない移民と強制移住の根本的原因の解決に取り組むことが,欧州への難民の流入に対処するための主要な要素であるとの見解を共有した。これを踏まえ,各国外相は,全ての関係者は,平和的で持続的な解決策と,それに伴う北アフリカと中東地域の安定に向けた外交的活動と交渉の努力を強化するべきであると強調した。日本は,難民供給国・経由国に対してV4諸国が更なる支援をする用意があること,及び,中東の難民と移民にこれまで提供されてきたシェルターを含むEUのあらゆる人道的支援一般を評価した。V4諸国外相は,日本が示した連帯を評価し,シリアの近隣国や,セルビア共和国及びマケドニア旧ユーゴスラビア共和国等EU非加盟国に対する日本の支援を歓迎した。

ウクライナ

 各国外相は,全ての関係者に対しミンスク合意を完全に履行するよう再度呼びかけ,ウクライナにおける紛争の解決は,ウクライナの領土一体性と主権を完全に尊重する平和的解決によってのみ達成されうることを改めて表明した。各国外相は,ロシアによる違法なクリミア「併合」は認められないことを改めて表明した。また,各国外相は,力による国境の変更は,国際法の基本原則に反するものであり,全ての国家にとっての懸念であるとの認識を共有した。各国外相は,ウクライナ政府の広範囲かつ持続的な改革に対する公約を賞賛し,ウクライナの努力のために引き続き支援する用意があることを表明した。V4諸国外相は,改革に向けたウクライナの努力を後押しする日本の貢献を評価した。日本は,ウクライナに対するV4諸国の,移行支援や各分野における知識の共有といった具体的な支援を歓迎した。

国際社会の平和と安全に対する努力

 地域の安全保障環境における不確実性に鑑み,各国外相は,東シナ海と南シナ海の現状を引き続き注視し,現状を変更し緊張を高めるあらゆる一方的行為に懸念を示した。各国外相は,全ての当事者が国際的に認知された法的紛争解決メカニズムの利用を含め,平和的で協力的な解決方法を追求すべきであり,国連海洋法条約に定められているとおり,国際法に基づく公海の航行と上空飛行の完全な自由を維持する必要性を強調した。航行の安全は,平和的で持続可能な発展にとって不可欠である。各国外相は,全ての当事者に,力による威嚇,力の行使又は強制を含む一方的行為を控えるよう強く求めた。各国外相は,2002年の南シナ海における関係国の行動宣言の完全で効果的な履行を支持するとともに南シナ海における実効的な行動規範の策定に向けた交渉の早期妥結を支持した。この観点から,各国外相は,危機的状況における直接的な連絡手段や危機管理メカニズムの構築を含む,実際的な信頼醸成手段の建設的役割を強調した。

 北朝鮮に関し,各国外相は,ウラン濃縮計画を含む,北朝鮮の核・ミサイル開発計画に関する重大な懸念を改めて表明した。双方は北朝鮮に対し,いかなる挑発行動も自制し,関連する国連安保理決議及び2005年の六者会合共同声明を完全に遵守し,朝鮮半島の非核化に向けた具体的な行動をとるよう強く求めた。また,各国外相は,拉致問題を始めとする,国際社会が有する人権に関する懸念に,遅滞なく取り組むよう強く要請した。

 各国外相は,前回の会合以降の国際情勢及び地域情勢を考慮し,東アジアと欧州の安全保障環境の密接な関連性を再確認した。各国外相は,一方的な現状変更の試みは許されないとの見解を共有した。

 これに関して,日本は国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,地域と世界の平和,安定,繁栄の確保に一層積極的に貢献するとの決意を強調した。V4は,日本の努力と,世界の平和,安定,繁栄に対する貢献を高く評価し,国際及び地域の安全保障に一層貢献するために日本が体制を整えていることへの支持を表明した。

 日本は,欧州と東アジアの安全保障の状況に対する相互理解をより深めるための有効な機会として,「GLOBSEC」に継続的に貢献していく意思を表明した。

国連における協力

 「V4+日本」は,国連改革,特に安保理改革の重要性を改めて確認した。双方は,今日の国際社会の現実を反映するために,その実効性,透明性及び代表性を改善する必要性を改めて強調した。この点について,双方は,安保理常任理事国及び非常任理事国の双方の議席の拡大を含め,第70回国連総会の会期中に具体的な成果を得るべく協働する意思を改めて表明した。各国は,ACT(説明責任,一貫性,透明性グループ)が作成した「大量虐殺,人道に対する犯罪又は戦争犯罪に対する安保理の行動に関する行動規範」に対する互いの支持を歓迎・再確認し,V4諸国外相は日本の安保理非常任理事国任期中に同国と協力する意思を表明した。

気候変動

 各国外相は,近々パリで開催される気候変動に関する国際連合枠組条約第21回締約国会合において,全ての締約国に適用され,公平かつ実効的で,法的拘束力のある新たな国際的合意を達成するとの決意を確認した。

 女性のエンパワーメント各国外相は,個々の女性のエンパワーメント政策に関連した活動をV4と日本の交流を活性化する機会として賞賛した。

II 日EU関係

 「V4+日本」は,日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)の今後数十年間の法的拘束力のある基礎としての重要性を確認し,この協定が基本的価値と原則を共有するグローバルパートナーとしての日EU関係を適切に反映させるべきとの決意を表明した。

 各国外相は,SPAと並行して交渉中の日EU経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)が,バランスのとれた形で,日本及びV4各国企業の市場アクセスを実質的に改善すべきであり,このことによって双方の経済関係を強化すべきである旨確認した。双方は,特にEPAについては本年中の大筋合意を目指すことを視野に入れ,SPA及びEPAの両協定をできるだけ早期に締結すべく協力していくことにコミットした。

III 日NATO関係

 V4諸国と日本は,世界の平和と安定を促進するためのNATOパートナーシップ政策の枠内において発展している協力を強化する共通の意思に再度言及した。

 各国外相は,共通の関心事項と,平和援助,相互運用性,海洋安全補償,核不拡散,サイバー防衛,ハイブリッド紛争,危機管理,人道支援・災害救援を含む広範囲に及ぶ実践的な協力に関する政策対話を強化するためのコミットメントを再確認した。

IV 「V4+日本」での協力の主要な成果と展望

政府開発援助(ODA)協力

 各国外相は,日本によって実施されている「西バルカン地域における中小企業メンターサービス構築・普及促進プロジェクト」に対し,2014年10月にV4側専門家が参加し,初の「V4+日本」共同ワークショップが開催されたことを歓迎した。各国外相は,東方パートナーシップ対象国と西バルカン諸国への協力を続けていく意思を再確認した。

科学技術とイノベーション

 各国外相は,科学技術分野は「V4+日本」の枠組みにおいて特に期待できる協力分野であるとの見解を共有した。V4諸国と日本は,この分野で開催された共同ワークショップとセミナーの成果を評価した。各国外相はまた,科学技術協力に関する協力覚書に基づき,5つの共同プロジェクトが採択されたことを満足の意をもって歓迎した。各国外相は,科学技術とイノベーション分野におけるより前向きな発展が,二国間,「V4+日本」間及び日EU間の協力に付加価値をもたらすとの期待を表明した。

定期共同セミナー

 これまでの共同セミナーとワークショップの成果を受けて,各国外相は,チェコの議長国期間に,双方が関心を共有しているテーマに関して,次回のセミナーを東京で開催することを決定した。

政策対話

 各国外相は,「V4+日本」間の政策対話が,外交政策,特に安全保障問題の分野において意見と情報を交換しあうための有効な枠組みであるとの見解を共有した。各国外相は,次回の第8回会合は,2016年の間に全ての関係国におけるハイレベルの外交政策担当者の参加を得て開催することに合意した。

人的交流

 各国外相は,V4諸国と日本との友好的な関係を一層促進することに成功した2014年の「V4+日本」交流年を評価した。各国外相は,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて人的交流を促進していく意思を表明した。

IV結語

 各国外相は,「V4+日本」の更なる関係強化のために,2年に1回この枠組みで外相会談を継続していく意志を再確認した。次回会合は2017年に開催される。

(了)