データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日・ルクセンブルク共同記者会見

[場所] 
[年月日] 2015年12月1日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【安倍総理大臣冒頭発言】

 7月のベッテル首相の訪日から半年も経たずにルクセンブルクを訪問できて大変嬉しく思います。ベッテル首相のおもてなしに心より感謝申し上げます。

 両国間には皇室・大公家の長年にわたる親密な関係が存在します。昨年10月にはギヨーム皇太子同妃両殿下に御訪日いただき、大変嬉しく思います。

 ルクセンブルクは、EU統合の推進役であり、現在はEU議長国としてリーダーシップを発揮しています。先日のASEM外相会合でも、開催国であるルクセンブルクは欧州とアジアの架け橋となって大きな成果を挙げました。

 ルクセンブルクは、鉄鋼から金融への産業構造の転換に成功しました。更に今日では、ITや物流でも発展し、世界で最も豊かな国の一つとなりました。10月に経団連のミッションが訪問したように我が国の経済界も重視をしています。

 日本も、魅力的なビジネス環境整備のために改革を断行しています。両国の成長のために、双方向の投資が重要であり、ルクセンブルクからも更なる対日投資を期待したいと思います。

 本日の会談の成果を簡単に御紹介したいと思います。

 まず、日EU・EPAについて、来年のできる限り早期の実現を目指すことでベッテル首相と一致をいたしました。貿易・投資拡大のため、EPAが重要との認識を両国で共有できていることは大変心強く思います。

 多数の犠牲者を出したパリのテロ事件を踏まえ、テロ対策で緊密に連携していくことで一致をいたしました。テロを断固として非難するとともに、日本は、テロの未然防止、根絶のために積極的に貢献していきます。

 テロのようなグローバルな課題に対処する上で、国連安保理の役割が重要であります。安保理を21世紀の世界にふさわしい形にし、代表性・正統性を向上させる上で、その改革が不可欠であります。今回、ベッテル首相と安保理改革実現に向けて気運を高め、緊密に協力していくことで一致でき、嬉しく思います。

 気候変動に関し、2020年までに官民併せて約1.3兆円、現在の1.3倍とする日本の途上国支援を説明いたしました。COP21の成功のため、ルクセンブルクとも緊密に連携していきます。

 今回の訪問を契機として、両国の関係を更に発展させていきたいと思います。