データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日・イタリア共同声明

[場所] 仮訳
[年月日] 2026年1月16日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

1 高市早苗内閣総理大臣とジョルジャ・メローニ・イタリア共和国首相は、日伊外交関係樹立160周年の幕開けを象徴的に記念する形で、2026年1月16日、東京において首脳会談を実施した。両首脳は、この重要な周年を記念するため、両国が一連の行事を計画していることを歓迎した。

2 それぞれの国の政府を率いる初の女性である両首脳は、共有された原則、共通の利益並びに、法の支配に基づく国際秩序の保護及び世界の平和、繁栄及び安定の促進に対する確固たるコミットメントによって結ばれた、日本とイタリアとの間に存在する歴史的な友好の絆と協力を改めて確認した。日伊アクションプラン(2024-2027)の下で発展してきた幅広い協力を総括し、あらゆる分野において二国間の結び付きをますます拡大していくとの共通の願いの下、両首脳は、日伊関係を「特別な戦略的パートナーシップ」と再定義した。

3 両首脳は、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋(FOIP)を確保するため、引き続き協力していく決意を再確認するとともに、FOIPとグローバル地中海との間の一層の連携促進を目指す意向を表明した。両首脳は、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障が強く相互に関連しているとの共通認識を改めて確認した。この文脈において、高市総理大臣は、本年予定されているイタリア海軍艦船の訪日を歓迎した。

4 両首脳は、日伊外務省戦略対話及び外務・防衛当局間協議の定期的な実施並びに2025年9月に発効した物品役務相互提供協定(ACSA)から今や恩恵を受けている共同訓練及び軍事演習により確保される、政治、安全保障及び防衛分野において強化された協力を歓迎した。

5 両首脳は、英国と共に次期戦闘機を共同開発するグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)の進展に満足の意を表するとともに、2035年の初号機配備という目標の達成が重要であることを確認した。また、両首脳は、新たな防衛装備品・技術協力の機会拡大に向けた議論が継続されていることを歓迎した。

6 両首脳は、自由で公正な経済秩序と経済安全保障を確保し、両国の経済の強靱性を高めることが、日伊双方にとって重要であることを強調した。両首脳は、自国の産業システム等を通じてサプライチェーンを相互に支援及び強化し、重要原材料に関する協力を強化するために、アクションプランの下で経済安全保障及び強靱性に互いに協働することにコミットする。両首脳は、あらゆる形態の経済的威圧、及び重要な物品や部品のグローバル・サプライチェーンを混乱させ、過剰生産をはじめとするその他の形態の市場歪曲を引き起こす、非市場的政策及び慣行の使用並びに輸出規制の使用に対し、深刻な懸念を共有した。

7 両首脳は、両国の市場における農産品の存在感を高めるとともに、日EU経済連携協定(EPA)に基づき認められた地理的表示(GI)の相互保護を確認することを目指すために、同協定(EPA)の下で貿易を促進し、市場アクセスを円滑化することにコミットする。

8 両首脳は、AIロボティクス、半導体及びバイオものづくりといった先端分野における二国間の科学技術協力を一層促進し、特にハイテク分野における産業連携、直接投資及び双方向の貿易フローの拡大を促進するとの意向を確認した。両首脳は、インフラ、運輸、医薬品、エネルギー、宇宙、半導体、情報技術等の複数の分野における、日本とイタリアの企業及びスタートアップの間の既存の協力と新たな機会を歓迎した。また、両首脳は、日本とイタリアにおける投資環境の一層の改善に向けて取り組むとの認識を共有した。この文脈において、両首脳は、日伊間の経済関係の更なる深化における日伊ビジネスグループの貢献を認識した。

9 両首脳は、イタリア宇宙機関(ASI)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協力等、既に確立されている協力を基盤として、経済成長及びイノベーションを促進するため、宇宙分野における協力を一層強化するとの認識を共有した。この目的のため、両首脳は、新たな商業、産業、安全保障及び科学分野のパートナーシップを促進するとともに、宇宙空間の平和的で、責任ある、持続可能な利用を推進するため、関連する多国間フォーラムにおいても連携するべく、宇宙協議を開催することについて一致した。

10 両首脳は、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)において立ち上げられた「ベレン持続可能燃料4倍宣言」や、ガスセキュリティに関する協力覚書(MOC)、またイタリアのG7議長国下で開始された適応アクセラレーター・ハブ等の地球規模での強靱性を促進する取組等、クリーンエネルギー分野及びエネルギー安全保障における、イタリア共和国環境・エネルギー安全保障省(MASE)と日本の経済産業省との間の協力を歓迎するとともに、これらの問題において引き続き協力していくことにコミットする。

11 両首脳は、防災における知見及び経験の共有の重要性について一致した。また、不測の事態における海外での自国民の退避のための計画の策定において緊密に連携するため、日伊間で担当部局間協議を開始するとのイニシアティブを歓迎した。両首脳はまた、日本とイタリアにおけるインフラ事業を支援するため、長大橋の建設、運営及び維持管理に関する二国間の技術面での協力を促進するとのコミットメントを確認した。

12 メローニ首相は、世界中から非常に多くの来場者を集めたことで確認された、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の成功につき、日本を称賛した。これに対し、高市総理大臣は、万博全体の中でも最も人気の高いパビリオンの一つであり、イタリアの創造性、伝統及び革新性を力強く発信した、卓越したイタリア館を通じた、イタリアによる万博の成功への多大な貢献に謝意を表した。高市総理大臣は、横浜で開催されるGREEN×EXPO2027へのイタリアの参加に関するメローニ首相の表明を歓迎した。

13 両首脳は、日伊映画共同製作協定が運用開始からわずか1年で二国間協力に良い影響を与えていることを歓迎し、文化対話を促進し、才能を支援し、新たなビジネス機会を創出するため、日本とイタリアの文化・クリエイティブ産業間のパートナーシップを一層強化することを決定した。また、両首脳は、ワーキング・ホリデー協定が本年発効予定であることに満足の意を表した。

14 両首脳は、共通の関心事項である地域及び国際情勢についても意見交換を行った。両首脳は、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現に向け、引き続き協力していく決意を新たにした。両首脳は、東シナ海及び南シナ海を含むインド太平洋情勢について意見交換を行った。両首脳は、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに強く反対し、海洋における全ての活動を規律する法的枠組みである国連海洋法条約(UNCLOS)の普遍的かつ統一的な性格を改めて強調した。両首脳は、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画を強く非難し、関連する国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に対するコミットメントを再確認した。両首脳は、暗号資産窃取を含む北朝鮮の悪意あるサイバー活動及び拡大する北朝鮮のロシアとの軍事協力に対する深刻な懸念並びにこれらに共に対処する必要性を表明した。両首脳は、北朝鮮に対し、拉致問題を即時に解決するよう強く求めた。両首脳は、中東情勢について議論を行い、ガザの安定化及び復興に向けて両国が引き続き取り組んでいくとの認識を共有するとともに、「二国家解決」の実現に対するコミットメントを再確認した。

15 両首脳は、移住、デジタル化、エネルギー移行等の世界的に重要な諸課題について意見交換を行った。また、アフリカ開発会議(TICAD)及びマッテイ計画を通じた、アフリカ開発を後押しするためのパートナーシップ強化に向けた共通の取組についても議論した。

16 メローニ首相は、高市総理大臣に対し、機会があり次第、イタリアを訪問するよう招待した。