データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] グローバルヘルスに関する日仏共同声明

[場所] 
[年月日] 2026年4月1日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

グローバルヘルスに関する日仏共同声明

 日本国内閣総理大臣及びフランス共和国大統領は、感染症やパンデミックのリスク、人口動態の変化及び気候変動、並びに環境及び安全保障上の危機がもたらす健康上の課題がグローバルな性質を持つことを認識し、国際的及び多国間の協調的な取組の必要性を強調した。両首脳は、知識の共有、科学、イノベーション及び経済的な協力が、全ての市民にとって有益なこうした協調的な取組の基盤を成すものであることを強調した。

 両首脳は、日本とフランスが「特別なパートナーシップ」の下での日仏協力のロードマップ(2023-2027)に基づいて連携してきたこと、またグローバル・ヘルス・ガバナンス及び世界的な保健課題に対処するための国際的な取組の調整において、主導的な役割を果たしてきたことを確認した。両首脳は、持続可能な開発の他の優先課題と密接に関連させつつ、保健サービス及びイノベーションへの公平なアクセス、財政及び保健分野の連携を含むユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の拡大、保健システムの強化及び疾病との闘いについて、それぞれのコミットメントを再確認した。両首脳は、グローバルヘルス分野における共通の目標を達成するため、特に以下の優先事項に沿って、連携及び協力の一層の強化に努める。

1 多国間フォーラムにおけるグローバルヘルス分野での協力

 両首脳は、G7、G20、世界保健機関(WHO)、世界銀行、その他の関連する国際機関及び多国間基金を含む、グローバルヘルス分野の主要な多国間枠組みにおける取組の更なる連携にコミットしている。両首脳は、公衆衛生上の危機に対処するため、グローバルヘルス・アーキテクチャーを構築及び強化する意思を再確認した。両首脳は、グローバルヘルス・アーキテクチャー改革におけるWHOの中心的役割への支持を強調した。両首脳は、2026年5月にG7 Cancer議長国がフランスから日本へ引き継がれることを歓迎し、G7 Cancerに対し、G7エビアン・サミットに向けた準備を進めるよう求めた。

 両首脳は、UHCの達成と、それに向けて、保健システムの強化、財保連携及び質の高いインフラ整備などを通じ、協力促進のための取組を共同で強化するコミットメントを再確認した。両首脳は、WHO及び世界銀行との協力により東京に設置されたUHCナレッジハブや、リヨンに拠点を置くWHOアカデミーなど、この目的に向けて両国がそれぞれ立ち上げたイニシアティブを歓迎した。

 両首脳は、新たなウイルスの出現や動物から人への感染症(人獣共通感染症)の伝播のリスクを低減するために、人間、動物及び環境の健康の間の強いつながりを認識するワンヘルスの概念の下、グローバルヘルスに対する包括的なアプローチを推進することへのコミットメントを再確認した。両首脳は、国連食糧農業機関(FAO)、WHO、国連環境計画(UNEP)、国際獣疫事務局(WOAH)から成るワンヘルス四者会合における連携を更に強化していくことで一致した。エマニュエル・マクロン・フランス共和国大統領は、2026年4月6日及び7日にリヨンで開催されるワンヘルス・サミットへの日本の参加を歓迎した。

2 第三国、特にインド太平洋地域におけるパートナーシップの強化

 両首脳は、インド太平洋におけるヘルス・セキュリティの確保が、同地域の平和と安定を達成するために重要であり、日本の自由で開かれたインド太平洋(FOIP)及びフランスのインド太平洋戦略の実現に寄与することを認識した。両首脳は、感染症との闘いが、インド太平洋におけるヘルス・セキュリティの確保のための重要な要素であることを認識した。

 両首脳は、同地域諸国の保健ニーズに対応するため、特に保健インフラ並びに保健及び医療人材の育成の分野において具体的な協力に取り組み、これを更に発展させていく意思を再確認した。両首脳は、情報共有、関係者間の交流及び第三国向けの人材育成などの様々な形態を通じて、両国の関連機関及び団体の間で、保健分野における新たな協力を更に探求するために協働する。両首脳は特に、国際協力機構(JICA)とフランス開発庁(AFD)との協力を基盤として、これを進める。

 両首脳は、2026年4月1日に日本パスツール研究所と国立健康危機管理研究機構(JIHS)との間で、感染症分野と高齢化科学分野の間の架け橋を築くために人工知能の活用や研究開発における協力を強化し、ヘルス・セキュリティに関する日仏間のパートナーシップを築くために、文書が署名されたことを歓迎した。

3 保健分野における科学協力の強化

 両首脳は、保健分野における二国間の科学協力を深化させることの重要性を強調し、グローバルな保健課題に関する科学的知見の最前線に立ち続けることが、これらの課題に効果的に対処するための鍵であることで一致した。両首脳は、2026年3月31日に開催された日仏科学技術協力合同委員会における保健研究分野の議論を歓迎した。

 両首脳は、保健分野は二国間研究協力の優先分野の一つであり、薬剤耐性(AMR)及び健康長寿に重点を置くことを再確認した。両首脳は、両国それぞれの研究エコシステム間の相乗効果を高めることに努める。

 両首脳は、若手研究者間の新たな協力を促進するとともに、両国の大学や研究機関間における高度な科学技術交流を発展させるため、医療分野における学生・研究者の交流と流動性を促進及び強化することに努める。

 両首脳は、相互の同意に基づき、保健関連製品の技術移転を奨励し、研究開発データ及び研究に対する公的資金配分の透明性を促進することで一致した。

4保健分野のイノベーション及び民間セクター協力の支援

 両首脳は、民間セクター主導のイノベーションがグローバルな保健課題に対処する原動力となり得ることを認識し、それぞれのヘルスケア・イノベーション・エコシステム間の連携強化を支援することで一致した。

 両首脳は、特に保健分野に応用される人工知能(AI)、新素材及び医療機器などの新技術を活用し、地球規模課題の解決に資する革新的な解決策を開発するために、協力を強化することにコミットした。両首脳は、例えばベンチャーキャピタル分野において、双方のイノベーション・エコシステム間に新たな架け橋を築く機会を模索することで一致した。また、ユニットエイド、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT)、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)、Gaviワクチンアライアンス及びグローバルファンドといったグローバルヘルス・イニシアティブ(GHI)への支援を通じて、こうしたイノベーションの幅広い普及とアクセス向上を支援するため、緊密に協力するというコミットメントを再確認した。

 両首脳は、サプライチェーンの安定性と安全性が、両国のヘルス・セキュリティ及びグローバルヘルスの達成にとって極めて重要であることを認識し、バリューチェーンの脆弱性を評価し、サプライチェーンを多角化させるために協力していくことで一致した。