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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 人工知能(AI)分野における協力に関する日仏共同声明

[場所] 
[年月日] 2026年4月1日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

人工知能(AI)分野における協力に関する日仏共同声明

日本国総理大臣及びフランス共和国大統領は、人工知能(AI)が科学技術、産業・ビジネス、外交・安全保障を含むあらゆる分野において既に大きな変革をもたらしており、これらの変化へのより積極的かつ能動的な適応を要す、時代を定義する汎用技術であることを認識するとともに、両国のイノベーションと競争力を強化し、国際的にアクセス可能で安全、安心で信頼できる持続可能なAIを開発するため、AIに関する国の能力を強化する必要性を確認した。

両首脳は、AI技術の責任ある開発が極めて重要であること及びこれを実現するための根底にある協力強化の必要性を強調し、AIの持続可能な開発のためAI技術の活用及び応用を通じてイノベーションを促進し、関連するリスクを適切に軽減しつつ、強靱かつ多様で信頼できるAIサプライチェーンを確保することが不可欠であることを確認した。両首脳は、「特別なパートナーシップ」の下での日仏協力のロードマップ(2023-2027年)で言及されたAI分野における協力の進展を認識した。また、2026年3月31日に開催された日仏科学技術協力合同委員会におけるAI分野での議論を歓迎した。

両首脳は、AI分野での具体的な協力を深化させる必要性を強調し、以下の優先分野におけるAIの機会及び課題に関する共通理解を深めるため、日本側の次官級審議官及びフランス側の事務次官級によるハイレベル対話を設立し、議題に応じて適当な関係者を参加させることで一致した。

1. AIの安全性(国際的ガバナンス)

両首脳は、「広島AIプロセス」に沿って「安全、安心で信頼できるAI」を中心とした国際ガバナンスの枠組みを推進する重要性を確認した。両首脳は、G7、G20、OECD、AIに関するグローバルパートナーシップ、国連等の国際場裡において両国間の連携を強化するという点で一致し、この点に関連して国連の第1回目となるAIガバナンスに関する対話について歓迎の意を表した。両首脳は、日仏それぞれのG7議長国としての優先課題が一致していることを歓迎し、AIの安全性・セキュリティ、AIの持続可能性及び未成年者の保護を更に推進するため協力することで一致した。

両首脳は、情報操作及びサイバーセキュリティに関連するものを含め、高いシステム影響力を持つAIモデルやシステムがもたらすセキュリティ及び安全上のリスクに対処するため、協力を更に深化させ国際的な取組を推進する必要性を強調した。両首脳はまた、AI技術の開発及び導入に伴うリスクを軽減するため、双方のAIセーフティ・インスティテュート間の連携を通じ、AIの安全性、セキュリティ及び評価に関する共同研究活動を更に推進する必要性を強調した。

両首脳は、軍事領域におけるAIの活用が、精度・正確性・効率性の向上、状況認識と理解の向上、迅速な情報分析の促進、ヒューマンエラーの減少及び省人化といった利益をもたらし得ることを認識した。両首脳はまた、軍事領域におけるAI活用の特殊性が、対処すべき課題を提起していることを認識し、人間中心のAI技術の必要性と

共に、「軍事領域における責任あるAIサミット」や「自律型致死兵器システムに関する政府専門家会合」を含む国際場裡において協力する意思を再確認した。

エマニュエル・マクロン大統領は、できる限り早期に日本でAIサミットを開催したい旨表明した高市早苗総理大臣の意向を歓迎し、支持した。

2. 安全保障のためのAI(経済安全保障、研究、イノベーション)

両首脳は、二国間の貿易・投資の促進、経済安全保障の支援、デュアルユース技術における協力の強化、双方のイノベーション・エコシステム間の連携促進、産業・スタートアップのマッチング支援等、AI分野における経済協力の深化が戦略的に重要であることを認識した。この文脈において、両首脳は、第三国におけるAIソリューションへのアクセスを共同で促進することにも寄与するSakana AIとCurrent AI foundationとの間での覚書(MoU)署名を歓迎した。

両首脳は、(i)特に多言語分野におけるAIモデル及びシステムの多様化並びに(ii)産業関係者の相互の市場へのアクセス支援を図るため、両国のエコシステムの相互補完性を強化するべく、AI分野における企業間協力やジョイント・ベンチャー促進に向けた取組を深化させるよう求めた。

両首脳は、安定的かつ安全なAIサプライチェーンの必要性を再確認し、多様なパートナーやサプライヤーと協力してAIサプライチェーンの強靱性を強化する取組を推進することの重要性を認識した。両首脳はまた、将来の協力を視野に、AIバリューチェーンにおける日仏双方の強み及び弱みを検証することで一致した。

両首脳は、共同研究プロジェクトの推進や研究者の交流促進を含め、AI分野における研究協力の深化が戦略的に重要であることを再確認した。両首脳はまた、例えばAIに関する合同会議の開催や将来のコンソーシアムに向けた基盤整備等により、科学コミュニティ間の交流を促進するよう求めた。

両首脳は、AIに加え、量子コンピューティング、量子通信、半導体、データセンター機器・クラウドコンピューティング、海底ケーブル等の他の重要技術も、AIと同様の機会及び課題をもたらしていることを認識し、これらの分野においても現在の二国間技術協力を更に深化させる方策を模索する意向を表明した。これらの分野において、両首脳は、技術の導入促進やユースケースの開発、国際標準化への取組を支援することの重要性を強調した。

3. AI for Good(第三国におけるAI能力構築支援及び社会的課題への対応)

両首脳は、2025年2月にパリで開催されたAIアクション・サミットにおいて署名された「人類と地球のための包摂的で持続可能なAIに関する声明」に沿って、包摂的で持続可能かつアクセス可能なAIの開発に向けた国際的な取組を共同で支援・拡大するコミットメントを再確認した。

両首脳は、安全、安心、包摂的、持続可能、強靭で信頼できるAIエコシステムを共創するためには、第三国やマルチステークホルダー・コミュニティのパートナーとの協力強化が鍵であるとの点で一致した。

両首脳は、地球規模課題に対処するためのツールとして、AIforGoodを推進するコミットメントを表明した。両首脳は、AI技術及びインフラによる環境への影響を抑制するための取組を強化するよう求めた。両首脳はまた、2025年12月の国連環境総会で採択された決議UNEP/EA.7/Res.9「人工知能システムの環境的持続可能性に関する決議」の重要性を認識した。

両首脳は、第三国におけるAI能力構築に向けた日仏の共同のアクションを更に深化させるよう求めた。

両首脳は、情報操作に対処するための協力強化を求め、AIによって生成又は改変されたコンテンツを識別する技術の開発をグローバル・レベルで促進すること及び対話型AIにおける言語的多様性の促進が必要であるとの点で一致した。

両首脳は、G7仏議長国の優先課題に従い、適切な政策手段を通じて、また科学者や民間企業を含む多様なステークホルダーと連携することで、オンライン上の未成年者の保護を推進することの重要性を認識した。