データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日英外相戦略対話2026 共同プレスステートメント

[場所] 
[年月日] 2026年4月20日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

 日英両国は、自由、民主主義、法の支配、基本的人権及び自由で開かれた公平な貿易といった共通の価値により結び付いた最も親密な友人でありパートナーである。2023年5月に発表された「広島アコード」で確認された「強化されたグローバルな戦略的パートナー」として、我々が直面する前例のないグローバル課題への対応、安全保障、強靱性及び繁栄の促進並びに自由で開かれたインド太平洋のビジョンの前進のために協力し合うというコミットメントを再確認した。この文脈において、我々は幅広い分野における協力の著しい進展及び更に深いパートナーシップを構築していくという共通の決意を歓迎した。

防衛・安全保障協力

 我々は、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分との認識の下、世界の平和と安定の擁護のため、共通の安全保障上の能力を強化するというコミットメントを再確認した。我々は、イタリアと共に、グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)の下、次期戦闘機の共同開発における産業・技術協力を加速する重要性を再確認した。我々は、二国間防衛協力の著しい進展並びにいずれも部隊間協力円滑化協定(RAA)が適用された、2025年夏の英空母打撃群(CSG)の日本訪問及び同年秋の航空自衛隊による北米及び欧州訪問(アトランティック・イーグルス)が示すような、大規模でより複雑な共同演習と相互訪問の野心的なプログラムを歓迎した。英国はまた、同志国との協力強化を通じて地域の平和と安全を強化する、防衛装備移転三原則及び運用指針の見直しに関する日本の取組を歓迎した。

 我々は、安全保障協力を深化させることの重要性について一致した。我々は、2026年1月の日英首脳会談で現在の地位に格上げされた「戦略的サイバー・パートナーシップ」の下におけるサイバー協力の重要性及び重要な海底インフラに対する活動を含むハイブリッド脅威に対処する共通のコミットメントを再確認した。我々は、最近署名された海外における日本国民及び英国民の保護に関する協力覚書の実施を通じ、危機管理における二国間協力を更に発展させる。

 防衛・安全保障上の課題について一層密接に協議するため、我々は、両首脳間で確認されたとおり、本年中の日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)開催を期待する。

経済的繁栄と経済安全保障

 我々は、我々の経済の安定性、強靱性及び活力の上に我々の経済安全保障が成り立つとの確固たる認識の下、イノベーションを飛躍させ、共通の繁栄を創出し、貿易及び投資を増加させるため、両国の経済関係を深化させることについてのコミットメントを再確認した。我々は、特に環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)及び日英包括的経済連携協定(日英EPA)を通じて、自由、公正かつ強靱な、ルールに基づく国際経済秩序を擁護するために引き続き共に取り組むことを決意する。我々は、緊急の、根本的で、包括的でかつ包摂的なWTO改革が極めて重要であることを認識し、多角的貿易体制を支持し強化するための具体的な取組を講じる。

 我々は、あらゆる形態の経済的威圧、過剰生産及び市場の歪曲をもたらす非市場的政策及び慣行の利用並びにグローバル・サプライチェーンに重大な悪影響を及ぼし得る、特に重要鉱物に対する輸出規制に深刻な懸念を表明した。我々は、2025年3月に初回の会合が開催された日英経済版2+2閣僚会合(「経済版2+2」)に対するコミットメントを再確認し、次回の「経済版2+2」を近い将来に開催することを期待する。我々はまた、既に具体的な商業的成果につながっている産業戦略パートナーシップ及び経済安全保障パートナーシップに基づき、二国間協力を更に強化する意図を確認し、協力を進めるに当たっての実際的措置に関する進捗を認識した。

 我々は、堅固な経済成長を促進するため、二国間の科学技術協力を更に推進する意図を確認した。

 我々は、エネルギー市場の安定並びにサプライチェーンの安全性及び安定性を支え、また、世界のエネルギー供給を支援するために必要な措置を講じるための、継続的な調整の重要性を認識した。我々は、浮体式/深海洋上風力、原子力及びフュージョンに関する一層の協力の構築を通じたものを含め、クリーンエネルギーに関する連携を強化するとのコミットメントを再確認した。

地域情勢

 我々は、共通の関心事項である地域及び国際情勢に対処する上での日英協力の重要性を認識した。我々は、国連憲章の諸原則に従い、国際的に認められた国境内のウクライナの主権、独立及び領土一体性に対する揺るぎない支持を再確認し、公正かつ永続的な平和の実現のため、制裁及びその他の措置を通じたものも含め、ロシアへの圧力を維持するために、G7パートナーも含め、共に取り組む決意を新たにした。我々は、G7及びウクライナ・ドナー・プラットフォームを始めとする国際的な調整メカニズムを通じて協力することにより、ウクライナの復旧及び復興に関する日英協力を深化させることも含め、ウクライナへの支持への継続的なコミットメント及びウクライナへの我々の支援を強化する重要性を強調した。

 イランに関し、我々は、継続中の外交努力の重要性を強調し、敵対行為の完全かつ永続的な停止が対話を通じて速やかに実現されることへの強い希望を表明した。我々は、国連海洋法条約(UNCLOS)に反映された国際法に従った、ホルムズ海峡の即時かつ無条件の再開及び基本的な航行の権利の尊重の重要性について一致した。我々は、国際社会と緊密に連携しつつ、中東の平和と安定に向けた外交努力を継続することへのコミットメントを再確認した。我々は、「ガザ紛争終結のための包括的計画」への支持、支援アクセスの拡大及び当該計画第2段階の完全かつ迅速な実施を含むガザの安定化及び復興に向けて両国が引き続き取り組んでいくとの認識を共有するとともに、「二国家解決」を基礎とする、国連安保理の関連決議に沿った永続的かつ持続可能な平和へのコミットメントを再確認した。我々は、ヨルダン川西岸地区における入植地の拡大及び入植者による暴力に対する強い反対並びにパレスチナ経済を安定化させる必要性を改めて表明した。

 我々は、東シナ海及び南シナ海を含むインド太平洋情勢に関する深刻な懸念を改めて表明し、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに強く反対した。我々は、海洋における全ての活動を規律する法的枠組みであるUNCLOSの普遍的かつ統一的な性格を強調した。我々は、両岸関係の問題について建設的な対話を通じた平和的解決を促した。我々は、北朝鮮が核・弾道ミサイル計画を拡大していく意図を改めて表明したことに深い懸念を表明し、関連する国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に対するコミットメントを再確認した。我々は、暗号資産窃取や北朝鮮IT労働者の活動を含む北朝鮮の悪意あるサイバー活動及びロシアとの軍事協力の拡大に対する深刻な懸念及びこれらに共に対処する必要性を表明した。我々は、拉致問題の即時解決の重要性を強調した。

 我々は、サヘル地域及び大湖地域を含むアフリカで続く紛争及び不安定化の影響について、深刻な懸念を改めて表明した。我々は、スーダンにおける戦闘を終結させるための停戦を確保し、この紛争によって引き起こされた深刻な人道危機に対処するという共通の優先事項を再確認した。我々は、スーダン国内及び全域への安全な、完全でかつ妨げられない人道アクセスを提供するよう、紛争当事者に対する集団的な国際的圧力の重要性を強調した。

地球規模課題及び多国間協力

 我々は、多国間協力の課題が増大している中においても地球規模課題に対処し、また、不可欠な多国間改革を共同で推進し、エネルギー移行の促進を通じたものも含むエネルギー強靱性を強化し重要鉱物を確保するための第三国協力を促進し、ウクライナ及びパレスチナにおける安定化及び復興のために緊密に協力することにより、開発パートナーシップを強化することへのコミットメントを確認した。我々は、国連事務総長の国連改革に係るイニシアティブ、及び日本を含むG4が常任理事国となることへの支持を含め、国連安全保障理事会の常任・非常任の双方の理事国カテゴリーの拡大の実現へのコミットメントを再確認した。我々は、来る2026年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の文脈におけるものも含め、現在の安全保障環境を反映した軍備管理・軍縮・不拡散に関する協力を強化することで一致した。我々は、2050年までのネット・ゼロ実現及び世界の気温上昇を摂氏1.5度以内に抑えるというパリ協定の目標へのコミットメントを再確認した。

 最後に、我々は、2026年1月の日英首脳会談において、スターマー首相から高市総理大臣に対し、本年中の英国及びチェッカーズ訪問の招待があったことを歓迎した。我々は、両国間の協力の着実な進展を基礎として、日英協力を更なる高みに引き上げる決意を確認した。