データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日朝国交正常化に関する両国議員団共同声明,第一次声明

[場所] 平壌
[年月日] 1955年10月20日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),728−729頁.神谷不二編「朝鮮問題戦後資料2」,448ー50頁.
[備考] 
[全文]

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議李英議長の招請によつて朝鮮を訪問した日本国会議員団は,一〇月一八日から一〇月二〇日まで平壌に滞在した。

 一〇月二〇日朝鮮民主主義人民共和国内閣首相金日成元帥と朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会金●{木へんに科のつくり}奉委員長は,朝鮮訪問日本国会議員団を接見した。

 同接見の席上には朝鮮民主主義人民共和国南日外務相が参席した。

 日本側からは,日本国会議員団団長古屋貞雄と高津正道,前田栄之助,原茂,長谷川保,佐々木良作,永岡光治,石野久男等の諸氏が参席した。

 相互理解と和気藹藹とした雰囲気のなかで行なわれた同接見の席上では,平和と朝日両国間の外交関係の正常化およびその他の朝日両国の関心事となる当面の一連の問題について意見を交換した結果,次のような重要な問題について合意をみた。

 一,朝日両国は国交の正常化を実現するため積極的に努力すること。

 二,朝日両国は未だ国交関係が正常化されていないといえども,貿易の道をすみやかに開くべきであり,これに必要な代表部を設置するため努力すること。

 三,両国間の文化交流は朝日両国の平和と親善の促進のために有益なことを認め,この実現のため両国は努力すること。

 四,朝日両国は双方の僑民が自由に自らの本国を往来できるように積極的に配慮すると同時に,国際法上公認された僑民の当然の権利を保障するよう努力すること。

 五,双方は朝日両国沿岸の公海で朝日両国漁民の自由な漁労活動を保障するための具体的対策を講究するため努力すること。

一九五五年一〇月二〇日 平壌にて

朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議

常任委員会

     副委員長   金 應 基

朝鮮民主主義人民共和国訪問日本国会

議員団

     団  長   古 屋 貞 雄