データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日韓基本条約の関係諸協定,在日韓国人の法的地位協定(日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定),討議の記録

[場所] 
[年月日] 1965年6月22日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),599ー600頁.外務省条約局「条約集・昭和40年(二国間条約)」.
[備考] 
[全文]

 在日韓国人の法的地位及び待遇に関する協定の締結のための交渉に際し,日韓双方よりそれぞれ次の発言がなされた。

日本側代表

(a)日本国政府は,協定第一条1(a)の適用に当たつては,兵役又は徴用により日本国から離れた時から復員計画に従つて帰還するまでの間を日本国に引き続き居住していたものとして取り扱う方針である。

(b)協定第一条の規定に従い永住許可の申請をする者が提出又は提示するものには,次のものが含まれることとする。

 (i)永住許可申請書

 (ii)写真

 (iii)家族関係及び日本国における居住経歴に関する陳述書

 (iv)外国人登録証明書

(c)協定についての合意された議事録中協定第四条に関する部分の1でいう「必要と認める措置」とは,文部省が現行法令に従つて行なう指導,助言及び勧告をいう。

(d)協定についての合意された議事録中協定第四条に関する部分の3でいう「必要と認める措置」には,厚生省令の改正が含まれる。もつとも,そのような措置を執るためには,相当な準備期間が必要であるので,日本国政府は,協定の効力発生の日から一年を経過した日の属する会計年度の次の会計年度の初日からそれらの者が国民健康保険の被保険者となるようにするものとする。

(e)外国人の財産取得に関する政令に基づく告示において,同政令の適用除外国として大韓民国を指定しているが,日本国政府は,協定の効力発生に際してこれを削除する意図はない。

(f)日本国政府は,協定第一条の規定に従い日本国で永住することを許可されている大韓民国国民が出国しようとする場合において再入国許可の申請をしたときは,法令の範囲内で,できる限り好意的に取り計らう方針である。

韓国側代表

(a)協定の効力発生の後は,出入国管理に関する日本国の法令により日本国からの退去を強制されることとなつた大韓民国国民の引取りについて,大韓民国政府は,日本国政府に協力する方針である。

(b)大韓民国政府は,協定についての合意された議事録中協定第四条に関する部分の3でいう「必要と認める措置」が執られるためには相当な準備期間が必要であることを認めるが,そのような措置ができる限りすみやかに執られることを期待するものである。

(c)大韓民国政府は,日本国に居住する大韓民国国民の生活を安定させ,及び貧困者を救済するため,日本国政府の要請に応じてできる限り同政府に協力するための措置を同政府とともに検討する用意がある。

                             M・Y・

                             K・H・L・