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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日韓条約締結についての中国政府声明

[場所] 
[年月日] 1965年6月26日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),611‐613頁.北京周報,3巻27号,10‐11頁.
[備考] 
[全文]

中国は「韓日基本条約」を断じて認めない

 アメリカ帝国主義の演出する「韓日会談」の茶番劇は、日本の佐藤政府と南朝鮮の朴正煕(パク・チョンヒ)かいらい一味の長期にわたる駆け引きを経て、さいきんあわただしくカタをつけられた。六月二十二日、佐藤政府と朴正煕一味は朝鮮、日本両国人民のはげしい反対と世界人民の非難を無視し、あえて「韓日基本条約」とその他一連の「協定」に調印した。これは、朝鮮を永久に分裂させ、南朝鮮を不法占領し、日本、朴をその侵略、戦争政策への奉仕にかり立てようと企むアメリカ帝国主義の重大な段どりである。

 朝鮮民主主義人民共和国政府は六月二十三日声明を発表し、アメリカ帝国主義と日本、朴反動派の犯罪行為をきびしく非難した。そして、朴正煕一味と日本政府がこん回の「韓日会談」で調印した「条約」と「協定」はまったく無効であること、朝鮮民主主義人民共和国政府と全朝鮮人民は、日本人民を含むアジアと全世界の平和を愛する人民とともに、侵略的な軍事集団をデッチあげてアジアで新しい侵略戦争を引き起こそうとする米・日帝国主義の陰謀に反対して、だんこたたかうであろうことを、おごそかに宣言した。中国政府と中国人民は、朝鮮民主主義人民共和国政府のこの厳正な立場をあくまで支持するものである。

 日本人民は「日韓基本条約」の調印にはげしく反対している。ちょうど日本共産党の六月二十三日の声明がのべているように、これらの「条約」と「協定」は日本、朝鮮両国人民の利益を犯すものであり、日本人民が絶対に承認できないものである。

 アメリカ帝国主義は長期にわたってずっと日本軍国主義勢力を積極的に育てあげ、日本と南朝鮮の反動派を結びつけようと懸命に策動し、日本を中心とし南朝鮮かいらい一味と蒋介石の残党を含めた「東北アジア軍事同盟」をデッチあげ、それを「東南アジア条約機構」と結びつけて、統一した侵略的軍事体制のなかにそのアジアにおけるすべての召し使いを組み込み、アジアの社会主義諸国とその他の平和愛好国家にまっ向から対立する、アジア人をアジア人とたたかわせるいわゆる「三日月計画」を実現させようと必死になっている。

 さいきん、アメリカ帝国主義のアジアにおける侵略活動はひきつづき失敗を重ね、とくに南ベトナム侵略戦争ではどこにも行く道のない窮地におちいっている。こうした敗勢を取り戻すために、アメリカ帝国主義はあわててその召し使いをひっぱりこまざるをえない。そして、南朝鮮でこれまでよりさらに多くの弾よけをかきあつめてベトナムに送り、そこでの侵略戦争拡大の軍事冒険に参加させようとしている。アメリカ帝国主義が全力をあげて、日本、朴反動派に「韓日会談」のカタを早急につけさせたことは、まさに先にのべたアジア人をアジア人とたたかわせる犯罪的な陰謀を実現する重要な構成部分なのである。

 「日韓基本条約」とその他関係「協定」の調印によって朝鮮人民と日本人民は大きな怒りを爆発させた。朝鮮の北部と南部、日本の各地で、いまアメリカ帝国主義に反対し、朴正煕売国一味と佐藤政府に反対する大衆運動が盛んな勢いでまき起こっている。朝鮮人民と日本人民のこの反米愛国の正義のたたかいは、アジアと世界各国人民の広範な共鳴と支持をうけている。英雄的な朝鮮人民と日本人民を前にして、目ざめたアジア人民を前にして、アメリカ帝国主義のすべての陰謀・計略は完全な破産の運命にぶつかるであろう‐こう断言することができる。佐藤政府と朴正煕一味はアメリカ帝国主義に甘んじて追随し、朝鮮人民、日本人民、アジアの各国人民を敵にまわしているが、かれらも最後にはアメリカ帝国主義の殉死者という恥ずべき末路におちこむだけである。

 中国政府と中国人民は朝鮮人民と日本人民の正義のたたかいを一貫して支持しており、日本、朴反動派を結びつけたアメリカ帝国主義の犯罪的な活動をはげしく非難する。「韓日基本条約」とその他関係「協定」の調印は、朝鮮人民と日本人民にたいする重大な挑発であるばかりでなく、中国人民とアジア各国人民にたいする重大な挑発でもある。中国政府は日本政府と朴正煕一味の調印したいわゆる「韓日基本条約」をけっして承認しない。六億五千万中国人民は、確固としてゆるぎなく、朝鮮人民、日本人民の側にたち、アジア各国人民の側にたち、日本、朴反動派を利用して侵略を拡大するアメリカ帝国主義の陰謀に反対して、最後までたたかう。