[文書名] 日韓基本条約の関係諸協定,日韓金融協定終了取極〔日韓金融協定の終了に関する交換公文〕
(日本側書簡)
(訳文)
書簡をもつて啓上いたします。本大臣は,千九百五十年六月二日に署名された日本国と大韓民国との間の貿易のための金融協定及び千九百六十一年四月二十二日付けの両国政府間の交換公文に関する両国政府のそれぞれの代表者の間の最近の会談に言及し,かつ,この会談において合意された次の取極を日本国政府に代わつて確認する光栄を有します。
1 千九百五十年六月二日に署名された日本国と大韓民国との間の貿易のための金融協定は,千九百六十六年三月十九日に終了する。
2(a)両国政府は,千九百六十六年三月十九日以後,前記の協定に基づく日本国と大韓民国との間の清算勘定(以下「清算勘定」という。)を通ずる決済を伴う新しい取引を認めないものとする。ただし,清算勘定は千九百六十六年三月十九日以後未決済残高決済のため同勘定が(f)の規定に従つて閉鎖されるまでの間開設されておくものとする。
(b)千九百六十六年三月十九日の前に清算勘定を通ずる決済を行なうことを認められたすべての取引は,千九百六十六年九月十五日までの間は同勘定を通じて決済されることができる。
(c)大韓民国政府は,千九百六十六年三月十九日から千九百六十六年九月十五日までの期間においては,毎月十日までに前月の末日における清算勘定の残高のうち千九百六十一年一月三十一日現在の同勘定の残高すなわち四千五百七十二万九千三百九十八アメリカ合衆国ドル八セント
((e)(i)にいう議定書に基づく賦払金の支払が行なわれた場合は,同金額よりその賦払金の額を差し引いた残額)をこえる部分の金額を日本国政府に支払うものとする。ただし,大韓民国政府は,その超過金額が二百万アメリカ合衆国ドルをこえるときはいつでも,その超過金額の全額を直ちに日本国政府に支払う。これらの支払は,日本銀行が韓国銀行に同勘定の受払明細書を提示したときにアメリカ合衆国ドルにより行なわれるものとする。
(d)両国政府は,千九百六十六年九月十五日の直後に清算勘定の最終的な残高を確認する。
(e)清算勘定の残高は,次の方法により決済されるものとする。
(i)千九百六十一年四月二十二日付けの交換公文により,千九百六十一年一月三十一日現在における日本国の貸越総額として確認された四千五百七十二万九千三百九十八アメリカ合衆国ドル八セントの金額についての決済は,千九百六十五年六月二十二日に東京で署名された財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定の不可分の一部である第二議定書の規定に従つて行なわれる。
(ii)(i)にいう金額((i)にいう議定書に基づく賦払金の支払が行なわれた場合は,同金額よりその賦払金の額を差し引いた残額)をこえる部分の残高の決済は,千九百六十六年十一月十四日までにアメリカ合衆国ドルにより行なわれる。
(f)清算勘定は(e)にいうすべての支払が終了した日に閉鎖される。
(g)清算勘定の決済に関する技術的細目については,日本銀行と韓国銀行との間で取り決めるものとする。
3 千九百六十六年三月十九日以後の両国間のすべての支払(千九百六十六年三月十九日の前に清算勘定を通ずる決済を行なうことを認められたすべての取引で,千九百六十六年九月十五日までに終了しなかつた取引の決済を含む。)は,それぞれの国の外国為替に関する法令に従い,アメリカ合衆国ドル又は両国政府が合意するその他の交換可能な通貨により行なわれるものとする。ただし,2(b)の規定による決済を除く。
本大臣は,前記の取極が,同取極を大韓民国政府に代わつて確認される閣下の返簡の日付の日に効力を生ずることを提案する光栄を有します。
本大臣は,以上を申し進めるに際し,ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十五年十二月十八日
日本国外務大臣 椎名悦三郎
大韓民国外務部長官 李東元閣下
(韓国側書簡)
(訳文)
書簡をもつて啓上いたします。本長官は,本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本長官は,前記の閣下の書簡に述べられた取極を大韓民国政府が受諾することを閣下に通報し,並びに閣下の書簡及び同書簡に対する本返簡が,この返簡の日付に効力を発生する取極を構成することを確認する光栄を有します。
本長官は,以上を申し進めるに際し,ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十五年十二月十八日
大韓民国外務部長官 李東元
日本国外務大臣 椎名悦三郎閣下