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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第7回日韓漁業委員会共同コミュニケ

[場所] ソウル
[年月日] 1972年7月13日
[出典] 外交青書17号,491−492頁.
[備考] 
[全文]

 1 日韓漁業共同委員会第7回定例年次会議は,1972年7月10日から7月13日までソウルにおいて開催された。会議は韓国側池鉄根委員を議長に,日本側片柳真吉委員を副議長に選出し,漁業資源の科学的調査,漁船間の海上事故及び処理状況の報告,漁船間の事故に関する一般的な取扱方針,協定違反に対する同等の刑の細目の制定,海難救助及び緊急避難に関する協定の締結交渉促進のための審議,その他協定遂行に関連する事項について真摯な討議を行なつた。

 2 委員会は,両締約国から提出された漁業資源の共同調査の資料および結果を審議した結果,共同規制水域を含む両国の関係水域において,浮魚類の漁獲は大きな変動を示しながら増加の傾向にあり,このうちマサバ資源は比較的安定しているが,マアジ小型群の漁獲が増加していることに注目した。一方,底魚類の漁獲には著しい変化はみられないが,漁獲性能が年々向上していることを考慮すると,資源の動向に十分注意する必要があり,このうち特にキグチについては減少傾向を示しており,またタチウオ,コウライエビについても資源の動向に注意する必要があることを認めた。

 今後,関係水域における資源の最大持続的生産性を確保するために必要な調査研究を推進するとともに,さらに資源管理の方策についても検討する必要性を認めた。

 3 委員会は,過去1年間の事故件数に関連する情況の検討の結果,事故発生が広域化する傾向にあることを認めた。韓国側は,協定水域外の水域における漁船事故発生率が拡大する傾向にあることにかんがみ,そのような水域における事故の未然防止と迅速な事故処理のため両国間の協力の必要性を強調し,日本側は,両国が最善を尽くすべきであるとの意見を表明した。

 4 委員会は,漁船間事故処理に要する期間が遅延していることおよび事故処理の遅延が被害漁民に及ぼす影響が大きいことに留意し,事故処理が迅速に行なわれるよう両締約国が民間団体を積極的に指導するとともに,民間団体が今後事故処理について改善策を講ずるよう勧奨することを両締約国に建議することとした。

 5 委員会は,事故の発生を未然に防止するためには,灯火,標識等の形象物を鮮明に掲げることが必要であることを認め,そのように積極的に指導することとした。

 6 委員会は,それぞれの民間団体による操業安全基金および積立金制度が将来多角的かつ効率的に運用されるよう関係当局が民間団体を適切に指導することに合意した。

 7 委員会は,漁船間の事故において相手船の確認の要請がある場合には,これを尊重し,これに応ずるようそれぞれの民間団体を指導することを再確認した。

 8 委員会は,故意もしくは重大な過失があつたと認定された加害船またはしばしば事故を起こした加害船があることに遺憾の意を表し,このような事故が発生しないよう関係者に対し,厳重に注意を喚起することとした。

 9 委員会は,相手側の関係民間団体の事故防止および事後処理に関する活動状況を視察するため,関係者を相互派遣することが有益であることを再確認した。

 10 委員会は,海難救助および緊急避難取極締結のための交渉を開始することを両締約国に建議することとした。

 11 委員会は,韓国側が提案した共同規制水域内における沿岸漁船規制の問題を協議するため本年度中の適当な時期に政府間の会合をもつよう建議することとした。

 12 委員会は,第8回定例年次会議を1973年5月以降東京で開催することを決定し,次期事務局長に藤村弘毅日本国国別委員を選任した。

 13 委員会は,今次の年次会議の討議が終始相互信頼と友好協力の雰囲気の中で進められ,委員会の任務遂行上きわめて有意義であつたことを認めた。