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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 南部共同開発協定,日本国と大韓民県{前1文字ママ}との間の両国に隣接する大陸棚{だなとルビ}の南部の共同開発に関する協定についての合意された議事録

[場所] ソウル
[年月日] 1974年1月30日
[出典] 日本外交主要文書・年表(3),680ー681頁.外務省条約局「主要条約集(昭和五十五年版)」,609ー30,640ー4頁.
[備考] 
[全文]

 日本国政府の代表者及び大韓民国政府の代表者は,本日署名された日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚{前1文字だなとルビ}の南部の共同開発に関する協定(以下「協定」という。)の交渉において到達した次の了解を記録する。

1 協定において「法令」というときは,文脈により別に解釈すべき場合を除くほか,大韓民国政府とその開発権者との間の開発契約を含むものとする。

2 第二条1及び協定の付表に定める地理上座標は,千九百五十五年十二月の日本国海上保安庁海図第二百十号(新版)を基礎とするものである。

3(1) 第五条1にいう単独危険負担操業は,単独危険負担者が操業管理者であるかどうかを問わず,当該小区域の操業管理者によつて実施される。

 (2) 単独危険負担操業によつて採取される天然資源は,第九条の規定に従い,関係開発権者の間で等分に分配される。

 (3) 単独危険負担者でない開発権者は,単独危険負担者に対し,単独危険負担報酬分の二分の一に等しい天然資源の分量の合理的な価格からその分量の売却に関連して要する費用及びその分量に関連して支払われる租税その他の課徴金を差し引いた額を,金銭によつて支払う。

4 第五条1にいう「漁業上の利益との調整」に関し,各締約国の政府は,自国の開発権者に対し,その開発権者が認可を受けた小区域において天然資源の探査又は採掘のための操業を開始する前に自国の関係国民の漁業上の利益との調整に努めるよう行政指導を行う。

5 第五条2に関し,両政府は,事業契約が提出された日及び事業契約を承認し又は否認する予定の日を相互に通知する。

6 第六条に関し,両政府は,操業管理者の指定が可能な限り衡平なものとなるように行われることを確保するよう努力する。

7 第九条2にいう「探査及び採掘のために要すると合理的に認められる費用」には,協定の効力発生の日前に共同開発区域における調査のために要した費用を含む。

8 第九条2の規定は,単独危険負担操業のために要する費用には適用しない。

9 第十条3に関し,採掘権の存続期間の延長の申請は,遅くとも採掘権の存続期間の満了の六箇月前までに行わなければならない。

10 第十条4に関し,両政府は,協議の後,それぞれ同日に両締約国の開発権者に採掘権を許与する。

11 第十条5に関し,新たな開発権者は,同条3の規定に基づき,採掘権の存続期間の延長を申請することができる。

l2 第十二条の規定の適用上,単独危険負担操業は,両締約国の開発権者によつて行われたものとみなす。

l3 両締約国の開発権者は,やむを得ない事由により第十二条の規定を遵守することができない場合には,遅滞又は停止の理由及び期間を記載した文書をそれぞれ自国の政府に提出し,その承認を受けなければならない。両政府は,その承認を与える前に相互に協議する。

l4 第十五条lに規定する締約国の承認は,正当な理由なくして,保留してはならない。

l5 第十五条2に関し,一方の締約国の残存する開発権者であつてその者と前の開発権者とが当事者であつた事業契約の下で操業管理者でなかつたものが同条lの規定に基づいて天然資源の探査又は採掘を行う場合には,その残存する開発権者は,自己の開発権者としての地位を保持しつつ,操業管理者として指定され及び行動する他方の締約国の開発権者とみなされる。

l6 第十五条2に関し,所得に対する租税には,鉱業権使用料を含まない。

l7 第十七条2の規定に基づいて課される租税その他の課徴金には,次のものを含む。

 (1) 日本国については,

  (a) 鉱産税

  (b) 固定資産税

  (c) 鉱区税

 (2) 大韓民国については,

  (a) 鉱業権使用料

  (b) 財産税

  (c) 鉱区賃貸料

l8(l) 第二十一条3に規定する「海底及びその下の掘さくによつて生じた損害」には,油又は天然ガスの噴出によつて生じた損害を含む。

 (2) 第21条3に規定する「坑水」とは,天然資源の探査又は採掘のために坑井を掘さくしている際に流出する水及びこれとともに流出する油その他の物質をいう。

19 一方の締約国の開発権者が第十五条1の規定に基づいて天然資源の探査又は採掘を行う場合には,第二十一条3(l)(a)の規定を適用し,同条3(l)(c)の規定は,適用しない。

20 第二十三条2(1)に関し,各政府は,その権限の範囲内において,自国の開発権者及び他の者が,同条2(l)に規定する六箇月の期間中及び共同提案を行う目的で両政府が協議を行つている期間中,同条1に規定する地質構造を独立して採掘しないよう必要な措置をとる。

21 開発権者は,同一の小区域について認可された他の開発権者がともに参加しない限り,第二十三条2(2)に規定する合意に参加してはならない。

 千九百七十四年一月三十日にソウルで

 日本国政府のために

   後宮虎郎

 大韓民国政府のために

   金東祚

(編注) 南部共同開発協定に関しては,一連の付表および交換公文を省略した。