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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第11回日韓定期閣僚会議共同新聞発表

[場所] ソウル
[年月日] 1981年9月11日                          
[出典] 外交青書26号,495ー496頁.
[備考] 
[全文]

1.第11回日韓定期閣僚会議は1981年9月10日及び11日の両日ソウルにおいて開催された。

会議には日本側から園田直外務大臣,渡辺美智雄大蔵大臣,亀岡高夫農林水産大臣,田中六助通産大臣,塩川正十郎運輸大臣,河本敏夫経済企画庁長官が前田利一駐韓大使とともに出席した。

韓国側から申●{乗の横棒をとる}鉉副総理兼経済企画院長官を顧問とし,盧信永外務部長官,李承潤財務部長官,高建農水産部長官,徐錫俊商工部長官,朴鳳煥動力資源部長官,尹子重交通部長官が崔慶祿駐日対し及び崔昌洛経済企画院次官とともに出席した。

2.会議は,次の事項を議題として採択し討議した。

(イ)国際情勢及び両国関係一般

(ロ)日韓経済関係

 (1)両国経済情勢一般

 (2)経済協力

 (3)貿易及びその他の経済問題

3.両国の閣僚は,最近のアジアを中心とする国際情勢について隔意のない意見交換を行い,朝鮮半島における緊張状態を認め,特に朝鮮半島における平和と安定の維持が日本を含む東アジアの平和と安定に緊要である点について認識を共にした。

日本側閣僚は,現下の厳しい情勢下において韓国の防衛努力が朝鮮半島の勢力均衡に寄与していることを高く評価し,全斗煥大統領が提唱されている南北の首脳会談等実質的な対話が進展することを支持した。

また,日本側閣僚は,韓国の第5共和国の新しい国造りのための韓国の政府及び国民の意思と努力に敬意を表した。

4.両国の閣僚は,日韓両国が相手方の繁栄の中で自国の繁栄が可能であるとの共通の認識の下に大局的な見地から相互信頼を構築していく必要性について認識を同じくし,このような観点から去る8月の日韓外相会談が新しい両国関係の発展のための重要な契機となったことについて意見の一致をみた。

5.両国の閣僚は,両国の経済情勢等に関し,それぞれ説明を行った。

経済協力問題については,日本側閣僚は,友邦たる隣国である韓国の国造りに貢献するため,日本の経済協力の基本方針の下に,できる限り協力を進めていきたいとの立場を表明した。両国の閣僚は,このような経済協力問題に関し,継続協議する必要性を認め,外交経路等を通じて協議することに合意した。

6.両国の閣僚は,今次定期閣僚会議が終始率直で友好的な雰囲気の中で運営され,日韓両国の新しい友好協力関係を発展させる上で非常に有益であったことに意見の一致をみた。

また,両国の閣僚は,このような対話を発展させるため両国間の首脳会談をできる限り早く開催することが望ましいことにつき意見の一致をみた。

7.両国の閣僚は,第12回日韓定期閣僚会議を来年東京で開催することとし,その詳細は,今後外交経路を通じて決定することに合意した。

8.日本側閣僚は,第11回日韓定期閣僚会議にあたり,韓国の政府と国民が示した歓迎に対し,深甚なる敬意を表明した。