[文書名] 第12回日韓定期閣僚会議共同新聞発表
1.第12回日韓定期閣僚会議は,1983年3月29日及び,30日の両日,東京で開催された。
会議には日本側から安倍晋太郎外務大臣,竹下登大蔵大臣,金子岩三農林水産大臣,宇野宗佑通商産業大臣及び,長谷川峻運輸大臣が前田利一駐韓大使及び田中誠一郎経済企画庁次官と共に出席した。
韓国側からは,李範錫外部長官,姜慶植財務部長官,朴鐘●{さんずいに文}農水産部長官,金東輝商工部長官,徐相●{吉に吉}動力資源部長官及び李嬉性交通部長官が崔殷祿駐日大使及び田中誠一郎経済企画庁次官と共に出席した。
2.両国の閣僚は,国際情勢及び両国関係一般,日韓両国の経済情勢,日韓貿易経済関係促進のための協力,国際経済面での日韓両国の協力,日韓間の人的,知的交流の促進等について協議した。
3.両国の閣僚は,去る1月の両国首脳会談が両国の友好協力関係の新たな発展のための重要な契機となったことにつき意見の一致をみた。また,両国の官僚は,日韓関係が幅広い国民的基盤に立脚した相互信頼と平等互恵の関係を強固にしていくことの重要性につき認識を共にした。
4.両国の閣僚は,最近の国際情勢及び朝鮮半島情勢について意見を交換し,これと関連して,両国外相会談で国際情勢及び両国関係促進のための方策に関し極めて有益かつ建設的な討議の行われたことが有意義であったことにつき意見の一致をみた。
両国の閣僚は,朝鮮半島を取り巻く現下の厳しい情勢に留意し,朝鮮半島における平和と安定の維持が日本を含む東アジア平和と安定にとって緊要である点について認識を共にしつつ,この地域の平和と安定及び繁栄のため今後とも互いに協力していくことを再認識した。
5.両国の閣僚は,両国の経済情勢を説明し,相手国の経済成長と繁栄が自国の成長と繁栄につながることに留意しつつ,両国間の幅広い協力関係を促進することが重要であることにつき意見の一致をみた。
6.両国の閣僚は,産業技術協力が基本的には民間の自主的判断により行われるべきことに留意しつつ,政府間で産業技術協力に影響をもたらす政策のレビュー,公共研究機関相互間の協力及び民間部門の交流と協力の促進のための環境設備に関する協議のため,日韓貿易会議の下に実務者会議をできる限り早期に設けることに合意し,その詳細を協議するため両国実務レベルでの話合いを早急に行うよう努力することとした。両国の閣僚は,韓国政府が要請した韓国技能工の日本における研修のための特別計画を早急に推進することとし,可能な範囲でその具体的な協力の方途を実務レベルで協議していくこととした。
7.両国の閣僚は,韓国における投資促進のための努力が両国の資本交流及び産業技術協力を促進する上で重要であるとの認識を共にしつつ,今後,日本企業の対韓投資が円滑に行われるよう相互に努力することとし,このため両国実務間で投資環境問題に関する話合いを行うことに合意した。
8.両国の閣僚は,両国間の貿易不均衡の推移に留意しつつ,両国の貿易が拡大均衡の方向で促進されることが両国関係にとって望ましいことにつき意見を共にした。また,両国の閣僚は,日韓貿易会議の早期開催を含め今後の貿易関係の健全な発展のために両国政府間の緊密な協議を継続することに合意した。また,両国の閣僚は,日韓間の生糸貿易の円滑化のため早期に実務者協議を行うことにつき意見の一致をみた。
9.両国の閣僚は,世界経済の動向に関して幅広く意見を交換し,保護貿易主義の圧力が依然根強い世界経済の現状に憂慮の念を表明しつつ,自由貿易の維持強化のため国際場裏において緊密に協力していくことに合意した。
また,両国の閣僚は,国際金融市場の安定が発展途上国を含む国際経済の安定的成長に不可欠であるとの認識の下に,国際金融市場の安定のため先進国をはじめとする各国及び国際機関が一層努力していくことの必要性について意見の一致をみた。
10.両国の閣僚は,日韓間の漁業問題が資源保護及び操業の観点から円満に処理されるべきことに意見の一致をみた。また,両国の閣僚は,本年10月末に期限切れとなる現行の自主規制措置については,両国間の友好的精神に基づき同月中旬の妥結を目標として鋭意協議することとした。
11.両国の閣僚は,両国間の農林分野の協力,水産養殖を中心とする水産分野の協力,日韓大陸棚開発の促進,エネルギー利用の合理化及び代替エネルギーの開発における協力,観光,交通及び運輸の分野における協力を推進していくことにつき意見の一致をみた。
12.両国の閣僚は,両国間の人的,知的交流の促進について意見交換を行い,青少年交流及び芸術交流を含む文化交流の拡大が望ましいことにつき意見の一致をみた。
両国の閣僚は,1985年が国交正常化20周年に当たることを記念して日韓両国の相互理解及び相互交流を促進するための行事を実施すべく,今後両国間で検討していくことに合意した。さらに,両国の閣僚は,日韓・韓日議員連盟が両国経済界の協力を得て進めている文化交流基金設立のための努力を高く評価した。13.両国の閣僚は,今回の閣僚会議が終始率直かつ友好的な雰囲気のなかで進められ,両国間の相互理解と友好協力関係を促進する上で有意義であったことにつき意見の一致をみた。
14.両国の閣僚は,第13回日韓定期閣僚会議を明年韓国で開催することとし,詳細については,今後外交経路を通じて決定することに合意した。