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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ビルマ・ラングーンにおける全斗煥韓国大統領に対する爆弾テロ事件関係文書,全斗煥韓国大統領の特別談話

[場所] 
[年月日] 1983年10月20日
[出典] 日本外交主要文書・年表(4),644ー645頁.外務省所蔵文書.
[備考] 要旨
[全文]

 全斗煥大統領は83年10月20日正午,青瓦台迎賓館において,ビルマ事態収拾に臨む特別談話を発表した。全斗煥大統領はこの日,テレビとラジオを通じて全国に中継された特別談話において,「今回が我々の平和意志と同族愛が耐え忍び得る最後の忍耐であり,もし再びこのような挑発がある時には,必ずやそれに相応する力の膺懲を覚悟すべきだということを北朝鮮金日成集団に厳重に警告しておく」旨述べた。

 全斗煥大統領は「北朝鮮金日成集団がしでかした今次ビルマ暴挙は,国家元首である本人に対する危害企図であり,大韓民国に対する宣戦布告と変わりない重大な挑発行為」と規定し,「これは我々と生存の安寧を破壊しようとする侵略戦争の宣言であり,自衛権の発動を通じて膺懲報復を受けて当然の戦争挑発である」旨述べた。全斗煥大統領は,「国際法はもちろん,ビルマでの場合のように他国の主権を踏みにじりつつ卑劣な暗殺暴力を欲しいままにしているかかる犯罪が,簡単に大戦までをも触発する災いのもととなり得るということを深刻に指摘する」と述べ,「今次事件の真犯人が北朝鮮共産集団であると判明した以上,世界の全ての平和愛好国民が,今や国際社会の不良であり狂的な無頼漢であるこれら集団との関係を断ち,国際社会において暴力妄動を懲罰するのために全てが立ち上がることを求める」旨述べた。

 また,全斗煥大統領は「今回の事件は,我が国国民の団結と我が軍の安保力量がどれほど堅固なものであるかを明らかに立証した事例」と述べ,「軍事的な対応はもちろん,政治と外交,経済と社会文化等全ての分野において,我々の国家目標に向けた前進の歩みを少しも緩めないのみならず,むしろ災い転じて福となすとの固い意志により更に一層拍車をかけていくべきである」旨述べた。

 更に全斗煥大統領は,「我々は,今や鬱憤と傷心から力強く立ち上り,小異を捨てて大同団結し,80年代には必ずや統一の大業を成就して富強な先進祖国を建設せねばならない」旨述べた。