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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 大韓航空機事件調査報告書に関するICAO第111回理事会決議

[場所] モントリオール
[年月日] 1984年3月6日
[出典] 外交青書28号,548ー550頁.
[備考] 要旨
[全文]

1.前文

  理事会は,

(1)ソ連軍用機による大韓航空機の破壊に関する理事会特別会合決議(昨年9月16日)及び理事会決議(同12月13日)を想起し,

(2)調査報告書及び航空委員会による同報告書に関する技術的検討結果を審議し,

(3)調査はデータ不足のために航路逸脱の正確な原因を確定できなかったものの,航路逸脱が故意によることを示す証拠,またパイロットが航路逸脱に気付いていたことを示唆する証拠は見い出せなかったことを認識し,

(4)航路逸脱原因のいかんにかかわらず,かかる武力行使が国際法違反であり,一般に承認された法的帰結を招来することを再確認し,

(5)かかる武力行使が国際民間航空の安全に対する重大な脅威であり,国際行動規範,シカゴ条約の諸規定及び人道に反することを認識し,

(6)遺族に対し変わらぬ同情を表明し,

2.主文

(1)大韓航空機の破壊と269名の人命損失をもたらした武力の行使を非難する。

(2)ソ連による関係国の捜索,救難への非協力,ICAOの調査団受入れ拒否,及び情報非提供を深く遺憾とする。

(3)全加盟国に対し,シカゴ条約改正及び再発防止策の検討に全面的に協力するよう要請する。