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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日韓国交正常化20周年についての安倍外務大臣談話

[場所] 
[年月日] 1985年12月17日
[出典] 外交青書30号,418ー420頁.
[備考] 
[全文]

1.日韓国交正常化20周年を迎えるにあたり,日韓両国の国民の皆様と共に心からこれを喜びたいと思う。

2.顧みれば,20年前の1965年12月18日,日韓基本関係条約が発効し,両国の国交正常化がなし遂げられた。これは,永遠の日韓友好を願う両国関係者の努力により,10数年に及ぶ困難な交渉を経て結実に至ったものである。それ以来,日韓関係は着実に発展してきたが,その間両国の交流は単に政府レベルのみならず,貿易,経済,文化を含む国民各層にわたる極めて幅広いものへと発展しており,また,最近では歴史的な両国首脳相互訪問も実現し,日韓両国の善隣友好協力関係がかつてないほど強固かつ成熟したものとなってきていることは誠に喜ばしい。

3.20年にわたる両国の歴史の中で,種々問題が生じたこともあったが,これらの問題は,国交正常化交渉において発揮された日韓双方の誠意と努力の精神により,その都度克服されてきた。日韓の友好関係は,20年の歴史を経て一層たくましく鍛えられたと言えよう。

4.また,過去20年の間に韓国が未曾有の発展をとげ,1988年にはオリンピックを開催するなど国際社会において確固たる地位を占めるに至っていることは,誠に慶賀にたえない。同時に,南北対話に対して積極的かつ真摯に取り組むなど,朝鮮半島の緊張緩和に向けた韓国の努力に敬意を表するとともに,これを引き続き支持するものである。

5.我が国としては,国交正常化20周年を機に,これまで築かれてきた良好な日韓関係を目前に迫った21世紀に向け,更に成熟した,かつ,真の友邦としての関係に発展させていくべく決意を新たにする次第である。