[文書名] 科学技術の分野における協力に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定 (略称)韓国との科学技術協力協定
昭和六十年十二月二十日 ソウルで
昭和六十年十二月二十日 効力発生
昭和六十一年三月八日 告示
(外務省告示第七八号)
科学技術の分野における協力に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定
前文
日本国政府及び大韓民国政府は、
平和的目的のための科学技術の分野における両政府間の協力が、両国間の友好協力関係を一層強固にし、かつ、それぞれの国の経済及び社会の発展に貢献することを信じ、
民間部門の発意により行われる互恵的な両国間の産業技術協力の拡大が望ましいことを再確認し、
そのような協力の促進に資する環境を適切な方法により醸成する必要性に留意し、
科学技術の分野における両政府間の協力を一層強化することを目的として、
次のとおり協定した。
第一条
科学技術協力の促進及び分野
1 両政府は、平等及び相互利益の原則の下に、科学技術の分野における両政府間の協力を促進し、及び容易にする。
2 1の協力は、次の分野において行うことができる。
(a) 海洋科学
(b) 資源及びエネルギー
(c) 保健及び環境
(d) 建築及び土木
(e) 農学、林学及び水産学
(f) 材料科学
(g) 電子工学
(h) 電気通信
(i) 航空科学及び宇宙科学
(j) 機械工学及び化学工学
(k) バイオテクノロジー
(l) コンピューター及び情報科学
(m) 産業開発の基礎として適当な科学技術
(n) 相互に合意されるその他の分野
第二条
協力活動の形態
この協定に基づく協力活動の形態には、次のものを含めることができる。
(a) 科学技術に関する情報及び資料の交換
(b) 科学技術の分野における主要政策事項に関する情報の交換
(c) 共同研究及び機関間の研究協力
(d) 科学者、技術者及びその他の専門家の交流
(e) 科学者、技術者及びその他の専門家による各種の形態の会合
(f) 相互に合意されるその他の形態の協力
第三条
委員会の設置
1 両政府は、この協定の目的を達成するため、両政府の代表者から成る日韓科学技術協力委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、外交上の経路により決定される日に日本国及び大韓民国において交互に会合する。
3 委員会は、次の任務を有する。
(a) この協定の実施に関する主要な政策事項を討議すること。
(b) この協定の実施状況を検討すること。
(c) この協定に基づく協力の増進を確保するための特定の措置に関し両政府に提案すること。
4 委員会の会合が開催されていない期間中の委員会の任務に関する連絡は、外交上の経路により行われる。
第四条
便宜供与
各政府は、他方の国の国民に対し、この協定に基づく活動の遂行に必要な便宜を与える。
第五条
細目取極
この協定に基づく特定の協力活動の細目及び手続を定める実施取極は、両政府又は両政府の機関のいずれか適当なものを当事者として行うことができる。
第六条
国内法令に従っての協定の実施
この協定は、それぞれの国において施行されている法令の範囲内において実施される。
第七条
他の取極との関係
この協定のいかなる規定も、両政府間の協力に関する他の取極でこの協定の署名の日に存在するもの又はその後締結されるものに影響を及ぼすものと解してはならない。
第八条
効力発生有効期間及び終了
1 この協定は、署名の日に効力を生ずる。
2 この協定は、二年間効力を有する。
この協定は、更に各二年の期間自動的に延長される。ただし、一方の政府が、他方の政府に対していずれかの期間が満了する六箇月前まてに書面によりこの協定を終了させる意思を通告する場合は、この限りでない。
3 この協定の終了は、この協定に基づいて行われ、かつ、この協定の終了の時までに実施を完了していないいかなる計画の実施にも影響を及ぼすものではない。
末文
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
千九百八十五年十二月二十日にソウルで、ひとしく正文である日本語、韓国語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。
日本国政府のために
御巫清尚
大韓民国政府のために
李源京