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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 北朝鮮政府の米朝核合意文履行要求声明

[場所] 
[年月日] 1998年5月1日
[出典] 朝鮮日報統韓研究所データベース
[備考] 翻訳 玄大松
[全文]

去る94年採択された米朝基本合意文は、我々が核凍結を維持する代わりに、米国は軽水炉を支援することで信頼を築き、制裁緩和などで敵対関係を解消して行くことを基本内容としている。

我々は、合意文が採択されるやいなや、自立的核動力施設を直ちに凍結し、米国に対する制裁を全面的に撤回したし、使用済み燃料棒等の安全な保管作業も順調に推進する等、合意文の義務事項を誠実に履行してきた。

しかし米国側は、合意文で公約した我々に対する実質的な制裁緩和措置は取らず、むしろそれを、我々から譲歩を引き出すための手段に利用しようとする一方、軍事的脅威を強化することで、対朝鮮敵対視政策を依然として追求している。

合意文の重要事項である軽水炉対象建設状況をみても、その着工式が予定より1年以上も遅れて行われたにも拘わらず、今日に至っては、KEDO(韓半島エネルギー開発機構)内部の事情を口実に、実質的な建設は進捗していない。

このような現実は、我々として、米国が果たして米朝合意文で公約した通り、2003年に軽水炉1号機を完工することができるだろうか、という懐疑心を抱かせる。

我々が核施設を凍結することによって被る電力損失を補償するための重油提供に関しても、米国側は今年の重油提供のための日程表を提示することも、重油を相応の時に提供することもせずにいる。

諸般事実は、合意文履行で我々がはるかに先に進んでいる反面、米国側は自分の義務を誠実に履行していないことを示していて、このため、同時行動措置と不可分である合意文の履行では甚だしい不均衡が生じている。

したがって、現在、我々の該当部門では、米国側の空の約束にこれ以上耳を傾けず、今は凍結された核設備を開封、整備して、全てのものを我々式にしていかざるをえないとしている。

我々はこれに対し、既に何回も米国側に警鐘を鳴らしてきたが、米国側は合意文を履行するとの空々しい言葉で差し替えながら、合意文を実行する実質的な行動措置は取らなかった。

米朝合意文履行と関連して、いままで我々が発揮してきた忍耐にも限界がある。

現在までのすべての状況は、我々に、米国側が該当する対策を取る時まで、使用済み燃料棒の保管作業をこれ以上推進することをできなくした。

万が一、使用済み燃料棒保管作業の中止が長期間続くならば、我々はやむを得ず技術安全上、使用済み燃料棒を安全に保管するための対策を取って行かざるをえなくなるだろう。

我々のこうした行動は、米朝合意文履行の均衡を保障し、何が何でも合意文を生かすために取らざるを得ない不可避な措置である。

我々が使用済み燃料棒の安全な保管作業を正常に推進するには、米国側が合意文で負った自らの義務事項を履行する実質的行動措置を速やかに取るべきであり、万が一、依然として空々しい言葉だけ繰り返す場合に生じる後日の禍は、予測出来ないほど大きいであろう。