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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国外務大臣と大韓民国外交通商部長官及びアメリカ合衆国国務長官による北朝鮮問題に関する共同発表

[場所] ニューヨーク
[年月日] 1998年9月24日
[出典] 外交青書42号,372−373頁.
[備考] 
[全文]

 1998年9月24日,高村正彦外務大臣,洪淳瑛(ホン・スニョン)外交通商部長官及びマデレーン・K・オルブライト国務長官は,北朝鮮に関する政策を協議し,調整するためにニューヨークにおいて会合した。

 三閣僚は,1994年10月に米国と北朝鮮の間で署名された「合意された枠組み」及び朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を,北朝鮮の核計画の推進を阻むための最も現実的かつ効果的なメカニズムとして維持していくことの重要性を確認した。三閣僚は,北朝鮮に対し,引き続き核活動をIAEAの監視の下で凍結することを含め,「合意された枠組み」を完全に実施し,その核計画についての疑念を払拭することを強く要請した。オルブライト長官は,最近の米朝協議の結果,「合意された枠組み」への米朝双方のコミットメントが再確認されたことを説明した。高村大臣及び洪(ホン)長官は,「合意された枠組み」への支持を再確認し,また,三国全ての閣僚は,KEDOへのコミットメントを改めて表明した。三閣僚は,引き続き十分に協議し,調整することが合意し,さらに,オルブライト長官より,米国が軽水炉プロジェクトを含むr合意された枠組み」の実施に当たり,引き続き日本政府及び韓国政府の立場を十分尊重する旨述べた。

 三閣僚は,北朝鮮による先般のミサイル発射を非難した。三閣僚は,北朝鮮のミサイル開発が放置されれば,日本・韓国及び北東アジア地域全体の平和と安全に悪影響を及ぼすこと,並びにこのミサイル開発が大量破壊兵器及びその運搬システムの拡散の観点から重大な懸念を引き起こしたことにつき意見が一致した。三閣僚は,地域の国々に対する事前通報のない,無責任かつ安全に関する国際的規範を無視した北朝鮮のミサイル発射に対して国連安全保障理事会メンバーが表明した懸念及び遺憾の意を共有した。

 また,三閣僚は,8月21日から9月5日までニュー・ヨークにおいて開催された米国と北朝鮮との間の協議の結果について検討した。この協議の結果には,北朝鮮のミサイル問題を取り上げる重要な場である米朝ミサイル協議の再開が含まれる。オルブライト長官は,このミサイル協議を通じて,北朝鮮による発射実験並びにミサイル及びその関連物資.技術の生産,配備及び輸出の中止を追求するとの米国政府の決意を表明した。高村大臣及び洪(ホン)長官は,このような米国の努力への支持を表明し,ミサイル協議において北朝鮮が目に見える措置をとることにつきコミットすることの重要性を強調した。

 三閣僚は,米国と北朝鮮が最近合意した同様に重要なその他のステップについても検討した。このようなステップには,北朝鮮における疑わしい地下建設物の実態を明らかにするための真剣な協議を継続すること,ヨンビョンにおける未密封の使用済み燃料棒の密封を速やかに完了すること,並びに四者会合の第3回本会談及びテロ協議を開催することに対する北朝鮮の同意が含まれる。三閣僚は,これらの協議の全ての側面につき緊密に協議することで合意した。三閣僚は,対比挑戦{前3文字ママ}対策についての緊密な協議の重要性を再確認した。