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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 韓ロ共同声明

[場所] ソウル
[年月日] 2001年2月27日
[出典] 朝鮮日報統韓研究所データベース
[備考] 翻訳 玄大松
[全文]

大韓民国金大中大統領の招請で、ロシア連邦ウラジーミル・プーチン大統領が、2001年2月26日から28日まで、大韓民国を国賓訪問した。

両首脳は、広範囲な両者問題及び国際問題について建設的な意見交換を行った。

1.両国首脳は、大韓民国とロシア連邦との間の建設的かつ相互補完的な同伴者関係の重要性に注目して、このような同伴者関係の持続的な発展が、両国国民の理解と東北アジアでの安保及び安定強化において重要である、ということに合意した。

2.このような目的のために、両側は両国首脳、総理、閣僚、議会指導者を含む多様な水準での対話と協議を増進して行く一方、相互に関心のある両者問題と国際問題に対して、定期的に意見を交換して行くことに合意した。また、多様な分野での協力関係増進のための法的基盤拡大の重要性を再確認した。

3.両側は、2001年2月26日、ソウルで開催された第3次韓ロ経済科学技術協力共同委員会が成功裏に終了したことに対して満足を表明したし、同共同委員会での決定を早急に実現するために適切な措置を取って行くことで合意した。両側は、貿易と投資、エネルギーと資源、産業、中小企業、科学技術、情報技術と通信、漁業、海運、航空、鉄道、環境、観光及び地域協力を含む多様な分野で両国間協力をより一層強化して行くことに合意した。両側は、ナホトカ自由経済地域内の韓ロ産業工業団地建設事業を早急に成功裏に完成させるために努力して行こう、とする強い意向を表明した。両側は、「大韓民国政府とロシア連邦政府との間のエネルギー分野での協力に関する協定」が円滑に実施されていることを歓迎した。両側は、イルクーツク(コビクタ)でのガス田開発において緊密に協力して行く一方、両国間の鉱物資源交易及びサハリンとその他のロシア地域での石油とガス開発事業に韓国側が参加する問題のような相互の関心事について継続協議することに合意した。両側は、韓ロ漁業委員会が両国間漁業分野協力増進に大きく寄与してきたことに認識を共にしながら、この分野での協力をより一層強化し、ロシア船舶の韓国に対する水産物輸出に関する情報を交換し、韓国側船舶にロシア水域内での安定的操業活動を保障することに合意した。両側は、第2次韓ロ産業協力委員会で多様な分野での技術及び産業協力に対して相当な関心が表明されたことに注目し、特に航空及び宇宙、新素材、機械工学を含む先端技術分野での協力を拡大して行くことにした。両側は、第3次韓ロ経済科学技術協力共同委員会で、韓ロ極東シベリア分科委員会を設置することにしたことを嬉しく受け止め、同分科委員会が大韓民国とロシア連邦の極東・シベリア地域間の貿易・投資及びその他の経済分野での協力を実質的に発展させて行くことを希望した。両側は、両国はもちろん、東北アジア地域全体の物流量増大を促す活動をする交通協力委員会を設置することに合意したことを歓迎した。両側は、両国間貿易と投資の持続的拡大のために経済発展に関する対話と協力を増大させて行くことに合意したし、ロシア連邦の世界貿易機構(WTO)加入と世界経済体制への本格的な編入が重要であることに注目した。

大韓民国はこのような過程に対する支持を確認した。

4.両側は、大韓民国とロシア連邦間との外交関係の樹立10周年を記念するために2000年中に開催された多様な行事が、両国国民間の相互理解と信頼増進に大きく寄与してきていることを満足に評価した。両側は、文化、芸術、科学、教育、法律などの分野で、両国間交流と協力をより一層発展させて行くことに合意した。

5.大韓民国とロシア連邦は、主権国家間の相互尊重、平等及び互恵的協力の原則に基づき平和と繁栄を指向する世界秩序の発展のために緊密に協力して行くことにした。両側は、ニューヨークで開催されたミレニアム・サミットで、国際問題解決において多者間の努力を強化し、今日、国際社会が直面している挑戦に対する効果的な対応策を模索する国際関係の中心メカニズムとして、国連の役割を強化して行く必要性が再確認されたことに対して満足を表明した。このような脈絡から、両側は、国際関係における、法の先導的役割の原則と国連憲章に明示されている原則に基づき国際平和と安保の維持における国連の指導的役割を再確認した。両側は、国連ミレニアム・サミット宣言文の原則を徹底的に遵守する意思を表明して世界化の否定的影響を最小化するための措置を取っていく一方、世界化問題と関連した建設的な協力を推進して行くことに合意した。両側は、また、ミレニアム・サミット宣言文と宣言文上の勧告に沿って、汎世界的経済・社会・科学・技術・環境及び人道的問題等の解決を増進させて行くことに合意した。両側は、あらゆる形態と種類の国際テロリズムに対抗するための国際協力を全般的に強化することに寄与して行くことに合意した。両側は、世界的及び地域的レベルの戦略的安定維持のために、大量破壊兵器とその運搬手段の拡散防止及び窮極的な撤廃に対する決議を再確認した。大韓民国とロシア連邦は、1972年に締結された弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)が戦略的安定の礎石であり、核兵器縮小及び非拡散に対する国際的努力の重要な基盤である、ということに同意した。両側は、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)を保存して強化するなかで、第2次戦略兵器削減条約(START II)の早期発効と完全な履行、そして第3次戦略兵器削減条約(START III)の早急な締結を希望した。このような脈絡で、大韓民国はロシア連邦の包括的核実験禁止条約(CTBT)及び第2次戦略兵器削減条約(START II)の批准を歓迎した。両側は、ミサイルとミサイル技術の拡散を規制する二者間及び多者間レベルの努力を続けることが重要であるという点を強調した。これと関連して両側は、弾道ミサイル拡散防止のための国際行動指針案採択への努力など、ミサイル技術統制体制(MTCR)の活動を評価した。両側は、ロシアが提案したミサイルとミサイル技術の非拡散に対する国際監視体制(GCS)構想について意見を交換した。両側は、2000年の核拡散防止条約(NPT)評価会議が成功裏に開催されたことを歓迎し、同会議で採択された最終文書が完全に履行されることを希望した。両側は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効が重要である、ということに注目しながら、同条約の発効のために批准をしなければならない国家を含む全ての国家が遅滞なく批准することを促した。両側は、国際原子力機関(IAEA)の安全措置体制の効率と効果を高めて行くことが重要であることを強調した。両側は、持続可能な発展と地球環境改善及び核兵器非拡散のためのエネルギー基盤を用意するためロシア大統領が提案した構想とそれに関連した問題に対して、特に、国際原子力機関(IAEA)の体制内で協議を強化して行くことに合意した。

6.両側は、アジア・太平洋地域での平和と繁栄を維持するための努力の重要性に注目して、相互理解と信頼の雰囲気を強化して行くために協力して行こうとする決議を確認した。両側は、アジア・太平洋経済協力体(APEC)を通じ、二者間及び多者間レベルでの協力を強化して行くことに合意した。アジア・太平洋地域での平和と安定の維持のためのASEAN地域安保フォーラム(ARF)の役割と寄与を重要であると評価しながら、両側は、2000年7月の、北朝鮮のASEAN地域安保フォーラム(ARF)加入を歓迎し、ASEAN地域安保フォーラム(ARF)の持続的な発展のために積極的に協力して行くことに合意した。

7.両国首脳は、2000年6月に、平壌で開催された歴史的な南北首脳会談と後続措置が、韓半島での緊張緩和と平和定着は言うまでもなく、南北韓間の和解と協力のための基盤をも造成したことを再確認した。両国首脳は、このような進展を歓迎し、このような方向への進展が続くよう持続的に協力して行くことにした。ロシア側は、韓半島での緊張緩和のための大韓民国政府と金大中大統領の努力を肯定的に評価して、南北韓間の接触と建設的協力の強化を引き続き支持して行こうとする用意と意志を再確認した。韓国側は、韓半島平和と安定のためのロシアの建設的な役割と寄与を肯定的に評価した。ロシア側は、韓半島での緊張緩和と平和定着に継続寄与しようとする用意と意志を表明した。両国首脳は、南北韓間の和解と協力が、朝鮮半島だけでなく、東北アジア及びアジア・太平洋地域全体のあらゆる分野において肯定的な発展の大きな潜在力をもたらしていると確信した。両側は、国際関係において北朝鮮の最近の対外関係活性化と多数国家との外交関係樹立を、韓半島での平和と安定のために望ましい動きとして歓迎した。両側は、韓半島での核脅威を除去するためには1992年の韓半島非核化に関する共同宣言と1994年のジュネーブ合意が充実に履行されて行くべきである、ということに同意した。両側は、韓半島でのミサイルの開発、輸出及び配置に関する問題が関連諸国の間の持続的な対話を通し早く解決できることを希望した。両側は、南北韓国関係の肯定的な進展がエネルギー及び資源分野事業及び韓半島縦断鉄道とシベリア横断鉄道の連結事業と共に、ロシアと大韓民国及びその他の国家が参加する協力事業の履行に好意的な雰囲気を造成している、ということで見解を共にし、このような事案に関する協議の機会の用意を含む協力を続けて行くことに合意した。両側は、南北韓当事者による韓半島緊張緩和と平和定着のための努力の重要性に対して意見を共にした。両側は、また、韓半島での平和と安定の増進のためのロシアを含む周辺国家の建設的役割を評価した。両側は、東北アジア地域の全般的な安保環境と協力問題を扱う多者対話の実現のために、緊密に協力して行くことに合意した。

金大中大統領は、ウラジーミル・プーチン大統領の訪問を、21世紀の両国間の同伴者関係の持続発展のための貴重な機会として歓迎した。

ウラジーミル・プーチン大統領は、大韓民国国民の暖かい歓待に謝意を表し、金大中大統領が都合の良い時期にロシアを訪問するよう招請した。

金大中大統領は、同招請を快く受諾した。