データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 議事録.投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府と大韓民国との間の協定

[場所] ソウル
[年月日] 2002年3月22日
[出典] 外務省.条約集
[備考] 
[全文]

合意された議事録

下名は、本日署名された投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定(以下「協定」という。)の交渉において到達した次の了解を記録する。

1 両締約国は、協定第二条に関し、各締約国が他方の締約国の投資家及びその投資財産に対し同条1及び2に定める待遇のうち当該投資家又はその投資財産にとっていずれか有利な待遇を与える義務を負う旨の了解を確認する。

2 両締約国は、日本国の出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年五月二十四日法務省令第十六号)が協定第九条1(i)の規定に基づく義務に適合する旨の了解を確認する。

3 両締約国は、商業的な利率による利子を伴う補償が、協定第十条3に規定する妥当な利子を伴う補償とみなされる旨の了解を確認する。

4 両締約国は、次の要求が協定第九条1の規定に基づく義務に反するものではない旨の了解を確認する。

(a)一定の水準の障害者の雇用

(b)赤十字社を通ずる血液製剤原料の購入

(c)一定の水準の国家功労者の雇用

(d)自国内で回収された廃棄物の再利用

(e)総合建設事業者によるその業務に係る下請契約の締結

5 両締約国は、政府調整についてはこの協定の適用がない旨の了解を確認する。

6 両締約国は、協定第十条の規定に関し、いずれかの租税に係る課税措置が収用に該当するかどうかを判断するに当たっては、次の事項を考慮すべき旨の了解を確認する。

(a)租税の賦課は、一般に収用を構成しない。単に新たな課税措置を導入すること、一の投資財産につき複数の管轄区域で租税が賦課されること又は課税措置の下で多大の負担の要求が行われること自体は、それらのみで収用に該当することとはならない。

(b)課税措置であって、概して、国際的に認められた租税上の政策及び慣行の範囲内にあるものは、収用を構成するものとは認められない。租税の回避又は脱税の防止を目的とする課税措置は、一般に収用に類する性格を有するものと認めるべきではない。

(c)すべての納税者に適用されるものその他一般的に適用される課税措置であっても収用を構成する可能性はあるが、特定の国民又は納税者を対象とする特定性の高い課税措置と比較するならば、一般的に適用される課税措置が収用を構成する可能性は、実行上、小さい。投資が行われた時点で有効な課税措置であって、透明性のあるものについては、収用に類する性格を有するものとはなり難い。

7 両締約国は、協定付属書Iに関し、次の了解を確認する。

(a)「公的独占」とは、締約国により、その領域内の関連市場におけるいずれかの物品又はサービスの唯一の供給者又は購入者として指定された者又は団体をいう。

(b)「国営企業」とは、締約国が持分の所有を通じて所有し又は支配している企業をいう。

8 両締約国は、協定の効力発生の日に存在しなかった新たな分野が、協定の効力発生後にいずれかの締約国において生じ、これに伴い当該締約国が協定附属書の改正を求める場合には、当該締約国による要請に応じ、附属書の改正のための協議を両締約国間で直ちに行うこととする旨の了解を確認する。

二千二年三月二十二日にソウルで

日本国政府のために

寺田輝介

大韓民国政府のために

崔成●{●はさんずいに弘}