データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 朝鮮半島の平和のためのASEMコペンハーゲン政治宣言

[場所] コペンハーゲン
[年月日] 2002年9月23日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

1.首脳は、2000年のソウルにおける第3回ASEMで採択された「朝鮮半島の平和のためのソウル宣言」を想起し、朝鮮半島の平和と安定に対するコミットメントを新たにし、また、南北の和解と協力のプロセスに対する支持を再確認した。

2.首脳は、朝鮮半島における緊張の原因となった6月の黄海における不幸な銃撃戦に対する懸念を表明した。首脳は、しかしながら、大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との間の緊張の緩和と対話の促進に向けた最近の積極的な動きに勇気づけられた。首脳は、そのような事件の再発を防止することの必要性を強調し、また、1953年の停戦合意を遵守すること及び信頼醸成措置を推進することの重要性を強調した。

3.首脳は、2000年6月の南北首脳会談において採択された南北共同宣言の実施に対し韓国と北朝鮮が表明したコミットメントに留意した。首脳は、南北双方が、朝鮮半島の平和及び南北の和解と協力を促進するために、共同宣言やそのフォローアップ合意を実施するための措置を誠実にとることを慫慂した。首脳は、この点に関し、50年間不通であった南北間の鉄道と道路を再び繋ぐための建設工事が2002年9月18日に着工されたことを含む、南北協力のための一連のプロジェクトの達成に向けた最近の実質的な進展を歓迎した。首脳は、第2回南北首脳会談の開催は朝鮮半島における和平プロセスのモメンタムを維持するために大きな意義があるとの認識を共有した。

4.首脳は、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)に対する支持を再確認し、1994年の「合意された枠組」を完全に実施することの重要性を強調した。首脳は、核及びミサイルに関連する事項を含む全ての未解決の問題が、時宜を得た対話を通じて解決されるべきであるとの希望を表明した。

5.首脳は、北東アジアのみならず世界全体の平和と安全保障についての見通しを大きく促進するとの具体的な進展をもたらす建設的な対話を通じて、北朝鮮を国際社会に関与させることの重要性を再確認した。首脳は、この点に関し、米国と北朝鮮との対話が再開されることについての見通しが今後も改善することを希望した。首脳は、また、ASEM参加国が北朝鮮との関係の発展を含む対話を促進するよう努力を続けていることに勇気づけられた。首脳は、この点に関連し、最近行われた日本の総理大臣による北朝鮮訪問を歓迎し、両者間の諸問題及び国際的な安全保障上の懸念を解決するための首脳レベルの対話を高く評価した。首脳は、経済改革並びに技術的及び人道的分野を含むすべての面において、ASEM参加国が北朝鮮を二国間レベル及び多国間レベルでの更なる交流と協力に関与させることを慫慂した。