[文書名] 北朝鮮外務省スポークスマン談話
朝鮮半島の非核化の運命はすべて米国次第である
米朝間の核問題は、いま重大な峠に立っている。朝鮮半島の非核化は、我々が発起して積極的な努力を傾けてきた問題であり、全朝鮮民族の渇望であった。共和国政府は、平和愛好的な立場で、かなり以前から朝鮮半島の非核化を一貫して主張してきた。また、1992年1月には、北と南との間に朝鮮半島の非核化に関する共同宣言を採択して、全民族的努力でその実現を図ってきた。しかし米国は、朝鮮半島で非核化を実現しようとするわが民族の指向とは相反する戦略的目的を弛まなく追求してきたのであり、今日に至っては、ついに朝鮮半島の非核化過程を破綻させてしまった。
核兵器所有国が非核国家の非核地位を尊重して核脅威を含む一切の武力使用脅威を放棄しなければならないことは公認された国際法的原則であり、要求でもある。しかし、現在の米行政府は執権初日から我々に対する敵対視、圧殺政策を露骨化しただけでなく、わが国を悪の枢軸に、核先制攻撃対象にまで名指しすることによって核拡散防止条約をはじめとするあらゆる国際的合意に乱暴に違反し、北南間の非核化宣言さえ完全に白紙化してしまった。
我々が主張した朝鮮半島の非核化は、平和を保障して民族の自主権と尊厳を守護するための非核化であって、決して米国の圧殺威嚇に屈服して武装を解除し、戦争を呼びおこすための非核化ではない。現実は米国の増加する対朝鮮圧殺策動を物理的に抑制することが求められており、このため我々はやむを得ず必要な抑制力を備えることを決心し行動に移さざるを得なくなった。こうした事態は、我々自らでなく、米国が作ったことである。今米国は、我々のこのような立場を彼らに対する脅迫であり恐喝としている。これは逆になった論理である。米国は世界最初の核保有国であり、世界最大の大量殺戮兵器保有国だ。ブッシュ行政府は彼らの必要によって他の国を先制攻撃することを正当だと主張しているだけでなく、それをすでにアフガニスタンとイラクとで実行に移した集団である。このような超大国戦争集団が、我々を悪の枢軸に、核先制攻撃対象にと公然と指定したことは威嚇ではないか。小国である我々が、それに対処した正当防衛手段として抑制力を備えたことだけが脅迫であり、恐喝であるというのか。これは居直り強盗に他ならない。
我々は既に、北京会談で造成された危機を平和的に打開して、核問題を根源的に解決するための実践的な方法を出したし、米国代表団はそれを正確に聞いて帰った。今、米行政府のなかでは、我々の問題を再び国連に持ち込み、国際化しなければならないという主張が上がっている。国連は決して大国が自らの利害関係のために小国を治める場所ではない。国連安全保障理事会が朝鮮半島核問題を議論しようとするならば、朝鮮半島の非核化過程を破綻させた張本人である米国の責任から必ず議論しなければならない。万が一、米国があくまで核問題を国連に持ち込み国連の名前を再度盗用するならば、我々はやむを得ず、非常時に取る行動措置を予見しなければならないだろう。このような我々の決心が決して脅迫でもなく恐喝でもない、ということがより一層明白になろう。朝鮮半島の非核化の運命は、すべて米国次第である。