データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際連合安全保障理事会決議第1695号 訳文

[場所] 
[年月日] 2006年7月15日
[出典] 外務省.条約集
[備考] 訳文
[全文]

安全保障理事会は、

1993年5月11日の決議第825号(1993年)及び2004年4月28日の決議第1540号(2004年)を再確認し、

朝鮮半島及び北東アジア地域全体の平和及び安定を維持することの重要性に留意し、

核、化学及び生物兵器並びにその運搬手段の拡散が、国際の平和及び安全に対する脅威を構成することを再確認し、

北朝鮮の弾道ミサイルの発射について、このような装置が、核、化学及び生物兵器の弾頭の運搬手段として使用される可能性にかんがみ、重大な懸念を表明し、

北朝鮮が、ミサイル発射のモラトリアムを維持するという誓約に違反したことについて、深刻な懸念を表明し、

北朝鮮が、適切な事前通報を行わなかったことによって民間航空及び海運に危険を生じさせたことについて、更なる懸念を表明し、

北朝鮮が、近い将来に弾道ミサイルを更に発射する可能性を示唆していることについて、重大な懸念を表明し、

このような事態を平和的かつ外交的に解決することへの要望を更に表明し、理事国及びその他の加盟国による対話を通じた平和的かつ包括的な解決を容易にするための努力を歓迎し、

北朝鮮が、1998年8月31日に、地域の諸国に対する事前通報を行わずにミサイルによって推進される物体を発射し、当該物体が日本付近の海域に落下したことを想起し、

北朝鮮による核兵器の不拡散に関する条約(以下「条約」という。)からの脱退に関する発表並びに条約及び国際原子力機関(以下「IAEA」という。)の保障措置に係る義務にもかかわらず、核兵器を追求することを表明したことを遺憾とし、

中国、北朝鮮、日本、大韓民国、ロシア連邦及びアメリカ合衆国によって2005年9月19日に採択された共同声明を実施することの重要性を強調し、

前記の発射は、特に北朝鮮が核兵器の開発を行っている旨宣言したことにかんがみ、地域内外の平和、安定及び安全を危うくすることを確認し、

国際の平和及び安全の維持のための特別な責任の下に行動して、

一.北朝鮮が、2006年7月5日(現地時間)に弾道ミサイルを複数回発射したことを非難する。

二.北朝鮮が、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を停止し、かつ、この文脈において、ミサイル発射モラトリアムに係る既存の約束を再度確認することを要求する。

三.すべての加盟国に対し、自国の国内法上の権限及び国内法令に従い、かつ、国際法に適合する範囲内で、監視を行い、ミサイル並びにミサイルに関連する品目、資材、物品及び技術が北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器(以下「WMD」という。)計画に対して移転されることを防止するよう要求する。

四.すべての加盟国に対し、自国の国内法上の権限及び国内法令に従い、かつ、国際法に適合する範囲内で、監視を行い、北朝鮮からのミサイル又はミサイルに関連する品目、資材、物品及び技術の調達並びに北朝鮮のミサイル又はWMD計画に関連する資金の移転を防止するよう要求する。

五.特に北朝鮮に対し、自制を示し緊張を悪化させるおそれのあるいかなる行動も差し控えること並びに、政治的及び外交的努力を通じ、不拡散上の懸念に係る決議に基づく取組みを継続していくことの必要性を強調する。

六.北朝鮮に対し、直ちに無条件で六者会合に復帰すること、2005年9月19日の共同声明の迅速な実施に向けて作業すること、特にすべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、並びに、条約及びIAEA保障措置に早期に復帰することを強く要請する。

七.六者会合を支持し、その早期の再開を要請し、すべての参加者に、平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化を達成し、かつ、朝鮮半島及び北東アジア地域の平和と安定を維持するため、2005年9月19日の共同声明の完全な実施について努力を強化するよう要請する。

八.この問題に引き続き関与することを決定する。