データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アラブ首脳会議決議

[場所] カイロ
[年月日] 1976年10月26日
[出典] 外交青書21号,121−122頁.
[備考] 
[全文]

 アラブ連盟加盟国国王及び元首は,1976年10月25日及び26日カイロの連盟本部に集まり,1976年10月18日リヤードにおいて開催された6者首脳会談の結果につき討議し,かつ,アラブの連帯を強化する必要性を確認した後,以下を決議した。

1.レバノン情勢

 (1)1976年10月18日のリヤード首脳会談において採択された共同声明,決議及び付属書を承認する。

    (イラクは本項につき承認を拒否した)。

 (2)レバノン国民及びパレスチナ人が被害者となつている一連の武闘及び破壊行動の痕跡を除去するため,レバノン再建及び必要な物資の援助につき,アラブ各国はそれぞれ能力に応じて貢献する。アラブ諸国はレバノン政府及びPLOに対する緊急援助を急ぐものとする。

2.アラブ連帯の強化

 アラブ諸国国王及び元首は,アラブ首脳会議及び連盟理事会において採択された決議,特に65年9月15日のカサブランカ首脳会議において決議されたアラブ連帯憲章の遵守を確認する。アラブ諸国はこれら決議を即時かつ全面的に適用すべく努力するものとする。

3.アラブ平和維持軍資金

 アラブ首脳会議は,リヤード会議第2決議に定められたレバノンにおけるアラブ平和維持軍の支出に必要な財源を供給するため,アラブ連盟軍事部の報告を詳細点検した結果,以下を決定した。

 (1)レバノンにおけるアラブ平和維持軍の必要とする資金を供給するため,特別基金を設ける。

 (2)アラブ連盟加盟国はそれぞれ能力に応じたパーセンテージに従つて基金に寄与する。

 (3)レバノン共和国大統領は,連盟事務局及び10%以上の資金援助を行なう加盟国と協議の上,基金を監督し,かつ,作業方式及び支出方法ならびに平和維持軍の任務終了時における精算方法を示す一般的規定を作成する。現在の平和維持軍は新方式が決定されるまで継続されるものとする。

 (4)基金の期間は6カ月とし,レバノン共和国大統領の要請に基づき開催される連盟理事会において,これを更新することができる。