[文書名] 福田総理大臣のカタル国訪問の際の日本・カタル国共同コミュニケ
1.福田赴夫日本国総理大臣及び一行は,シェイク・カリーファ・ビン・ハマド・アール・サーニー・カタル国首長殿下の招待により,イスラム暦1398年10月7日から8日まで,すなわち1978年9月9日から10日までカタル国を公式訪問した。
2.偉大なる賓客は,カタル国の日本に対する深い敬意と両国をつなぐ固い友好関係を反映し,公式かつ温い歓迎を受けた。
3.福田総理は,カタル国滞在中,シェイク・カリーファ・ビン・ハマド・アール・サーニー首長に拝謁を賜わり,次いで同首長と会談した。
4.福田総理と首長は,湾岸地域情勢をはじめとする現下の国際情勢及び両国が関心を有する諸問題につき,率直かつ有益な意見の交換を行つた。会談は友好的かつ親密な雰囲気の中で行われ,双方は,右会談が両国間の相互理解及び友好関係の一層の増進に貢献したことを確認した。
5.双方は,両国の経済,貿易関係が近年非常に円滑に発展しつつあることに満足の意を表明し,今後かかる円滑な関係が一層増進することを希望した。
更に,双方は,両国間の友好協力関係を一層多角的に発展させるため,技術協力,文化活動における交流及び人物交流を促進することにつき意見の一致をみた。
6.共通の関心を有する現下の国際情勢を展望して,双方は,国際連合憲章の諸原則と目的に対する固い信念を再確認し,それらの尊重及び遵守がなければ,世界に平和と安定と安全及び繁栄は実現されないことを再確認した。双方は,また,国際連合が,開発途上国と工業国の間に衡平且つ均衡のとれた経済関係を達成するとともに,両者が平等な基礎に立つた利益を実現し,その結果全世界に繁栄をもたらすような新しい国際経済秩序を確立するため行つている努力を賞賛した。
7.双方は,湾岸地域の国際政治・経済上の重要性を再確認するとともに,日本側はカタル国が同地域の安定的発展のために果している役割を高く評価した。更に,双方は,インド洋における平和と安定の維持の重要性を強調し,国際連合決議第2832号に従つてインド洋を平和地帯として認めることに対する支持を確認した。
8.双方は,中東における公正かつ永続的和平の早期達成が世界平和にとつて緊要であり,このためには,1967年戦争の全占領地からのイスラエル兵力の撤退を含む国際連合安全保障理事会決議第242号及び第338号の完全な実施,民族自決権を含むパレスチナ人の国際連合憲章に基づく正当な権利の承認と尊重の確保が必要であることにつき意見の一致をみた。
9.偉大なる賓客は,カタル国首長の英邁な指導の下で,同国があらゆる分野において達成した素晴しい業績に対し深い敬意を表明した。
10.双方は,今回の訪問の成果に完全な満足の意を表し,今後とも双方で緊密な接触を保ち,両国の友好協力関係を一層強固なものとするため,両国の政府間関係者間で適宜緊密な協議を行うことに合意した。
11.賓客は,カタル国滞在中,同賓客及び一行に対して与えられた温い歓待に対し,カタル国首長,政府及び国民に心からの感謝の意を表明した。
12.賓客は,首長に対し日本を公式訪問するよう招待した。首長は,右招待を感謝の念をもつて受諾し,できるだけ早く訪問が実現することを希望する旨表明した。