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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] シナイ半島返還に際しての櫻内外務大臣談話

[場所] 
[年月日] 1982年4月26日
[出典] 外交青書27号,391頁.
[備考] 
[全文]

1.あらゆる紛争は平和的手段により解決されるべきである。かかる意味において,67年戦争以来イスラエルの占領下にあったシナイ半島が,話合いを通じ平和裏にエジプト・アラブ共和国に返還されたことを我が国としては心から歓迎する。

 また,我が国は,関係諸国がシナイ半島返還実現に向けて種々の困難を乗り越えたその努力に敬意を表する。

 我が国は,また同半島の平和維持の目的のために多数の国がシナイ半島多国籍軍・監視団に参加したことを高く評価する。

2.我が国は,中東地域において,公正・永続的かつ包括的和平が,話合いにより早期に達成されることを従来強く希望してきた。かかる立場から,我が国はすべての紛争当事者が武力行使を控え,国連安保理決議242及び338の基礎の上に,未解決のすべての問題を平和的に解決することを強く訴える。また,かかる目的達成のためには,とりわけ,イスラエルが67年戦争のすべての占領地から撤退し,パレスチナ人の民族自決権を含む国連憲章に基づく正当な権利が認められると同時に,イスラエルが安全な,かつ承認された国境の中で平和に共存する権利が尊重され,かつ確認される必要があることを再確認する。

3.我が国はパレスチナ自治交渉の推移を注意深く見守ってきた。我が国は,東エルサレムを含む西岸・ガザ住民の現在の状況に深い懸念を有しており,今後住民の意向が十分に反映される方向で現状が改善されることを訴える。

 また,我が国は,レバノン共和国が中東紛争の影響を被り,その主権・領土保全及び政治的独立を脅かされている現状に対し深い憂慮と同情を有している。我が国はこれ以上事態が悪化せざるよう関係当事者が武力の行使を自制し,国民的和解の達成を図ることを強く希望する。

4.我が国は現在行われている和平努力を含め,中東における包括的和平の実現に向けてのあらゆる努力を歓迎する。我が国としても正義かつ公平の立場に立脚しつつ,今後ともパレスチナ解放機構(PLO)を含むあらゆる紛争当事者との意思疎通に努め,かつ広く関係諸国とも協力しつつ,できる限りの貢献を行う所存である。