データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 湾岸危機に関する資料,中東における平和回復活動に係る我が国の貢献策

[場所] 
[年月日] 1990年8月29日
[出典] 外交青書35号,470頁.
[備考] 
[全文]

I.湾岸における平和回復活動に対する協力

 湾岸の平和と安定の回復のため安保理の関連諸決議に従って活動している各国に対し,適切な方法により思い切った協力を行う。

 1.輸送協力

 各国の活動に伴う膨大な輸送需要に鑑み,政府が民間航空機・船舶を借り上げ,食糧・水・医薬品等の物資を対象に輸送協力を行う。

 2.物資協力

 砂漠地帯という過酷な自然環境の下で行われる各国の活動を支援するため,防暑,水の確保等の面で資機材を提供するために必要な措置をとる。

 3.医療協力

 物的・財政的のみならず,人的側面においても積極的貢献を行うとの観点から,各国に対する医療面での協力を行うため,100名を目途に医療団を緊急に派遣し得る体制を速やかに整備することとし,とりあえず先遣隊を早急に派遣する。

 4.資金協力

 湾岸の平和と安定の回復のため,上記1.〜3.の措置に加え,各国が行う航空機・船舶の借り上げ経費等の一部にあてるため,適切な方法により資金協力を行う。なお,資金協力の規模及び方法等については,今後早急に検討を行うものとする。

II.中東関係国に対する支援

 1.周辺国支援

 緊急かつ深刻な経済的困難を抱えるに至ったジョルダン,トルコ,エジプトといった域内周辺諸国に対して,相当規模の譲許性の高い資金支援等の経済協力を実施する。また,関係国際機関に対しても,我が国からこれら諸国に対する積極的支援を働きかける。

 2.難民援助

 関係国際機関等のアピールを踏まえ,必要資金の相当部分を負担することとし,とりあえずジョルダンの難民支援のため1000万米ドル強の援助を行う。