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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 湾岸危機に関する資料,記者会見における坂本内閣官房長官発言要旨(我が国の対中東貢献策について)

[場所] 
[年月日] 1990年9月14日
[出典] 外交青書35号,471頁.
[備考] 
[全文]

 去る8月29日,政府は,「中東における平和回復活動に係る我が国の貢献策」を発表したが,本日,更に以下の通り決定した。

1.先般の貢献策のうち,「中東関係国に対する支援」については,今次事態により,深刻な経済的損失を被ったエジプト,トルコ,ジョルダンといった周辺諸国に対し,総額20億ドル程度の額の経済協力を実施する。

 (1)このうち,エジプト,トルコ,ジョルダンに対して,先ず,6億ドルの,今次非常事態に対応する例外措置として超低利(金利1%,返済期間30年)の緊急商品借款を供与することとする。

 (2)上記(1)に続く支援策については,今後,情勢の推移を見極めつつ,関係各国及び国際機関とも協議しつつ,その具体的内容を決定していくこととするが,我が国としては,関係国際機関を含む国際的な支援体制が作られるよう,積極的に働きかけていくこととする。

2.また,貢献策のうち,「湾岸における平和回復活動に対する協力」については,先般,厳しい財政事情等も総合的に勘案の上,10億ドルの協力を行うことを決定したところである。

 今般,その後の中東情勢等にも鑑み,湾岸地域における平和と安定の回復のための各国の国際的努力に対し,我が国としても,更に積極的に貢献していく必要があるとの見地から,先の10億ドルに加え,今後の中東情勢の推移等を見守りつつ,新たに10億ドルを上限として追加的に行う用意がある旨,表明することとする。