[文書名] 湾岸危機に関する資料,中山外務大臣談話
1.1月17日,イラクのクウェイトからの全面撤退とクウェイト正統政府の権威回復を求める国連安保理諸決議の実現を図るための武力の行使が開始された。
2.国際社会は,昨年8月2日のイラクによるクウェイト侵攻以来,国連安保理決議に従った問題の平和的解決を実現するためあらゆる努力を重ねてきた。我が国としても,かかる国際社会の動きと協調の下,問題の平和的解決に向けた様々の外交努力を行ってきた。
3.こうした努力にもかかわらず,イラク政府は終始安保理決議を頑なに拒否し,決議678の定める1月15日までの猶予期間を越えてもなおクウェイトの侵略と併合を継続してきた。我が国はこのようなイラクの暴挙と国際社会に対するあからさまな挑戦を強く非難するとともに,同国の頑なな態度ゆえに本件危機を平和的に解決せんとする国際社会の努力が無に帰するに至ったことを深く遺憾とするものである。
4.我が国は,安保理決議678に基づき,侵略を排除し,平和を回復するための最後の手段としてとられた今般の武力行使に対し,確固たる支持を表明するとともに,同決議に従って,できる限りの支援を行う決意である。
5.我が国は,また,イラク政府に対し,国際社会の一致した意思を尊重し,すべての関連安保理決議を直ちに受諾するよう強く求める。