[文書名] イスラエルとパレスチナの共存共栄に向けた日本の中長期的な取組:「平和と繁栄の回廊」創設構想
1.基本的考え方
(1)持続的な和平実現のためには、「平和の配当」を人々にもたらし、当事者間の「信頼醸成」を促進することが重要。
(2)現在、イスラエル・パレスチナ間の和平に向けた取組は深刻な困難に直面しているが、二国家構想が唯一の解決策であり、現状への対応と同時に共存共栄に向けた中長期的な取組が重要。
(3)二国家構想の実現には、持続的な経済開発を伴う、健全なパレスチナ国家をイスラエル、ヨルダン等近隣諸国との協力を得て樹立することが不可欠。
(4)持続的な経済開発の鍵は民間セクターが握っている。西岸においては、農産業が経済開発の主導的役割を果たし得る。
(5)域内協力の結果のみならずプロセスが当事者間の信頼醸成の観点から重要。
2.日本の関与のあり方
(1)上記の考え方に基づき、パレスチナ、イスラエル、ヨルダン、日本の4者からなる協議体を立ち上げ、日本のODAを戦略的・機動的に活用しつつ、域内協力の具体化に取り組む。日本は、最初の4者協議をホストする用意がある。
(2)日本は、より長期的な見地から、イスラエルとアラブ諸国との信頼醸成と地域経済協力を推進する媒介役を果たしていく。
(3)実務的に取り組み、関係者間の協力と信頼関係を促進し、人々に将来への希望を与える、というアプローチを採用。
3.具体的な案件例(別添構想図参照)
(1)農産業団地の設置
日本は、ヨルダン渓谷西岸側に農産業団地を設置するための事業化調査(F/S)を実施する。同F/Sの結果に基づき、事業化に必要な資金調達の方途が検討される。運営面を含め、必要な技術協力を行うほか、民間部門の参加を慫慂する。また、国際金融機関等との協力も検討。
(2)物流の促進
日本は、上記農産業団地の産品の輸送に必要な協力を実施する。