データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] オルメルト首相の訪日に際しての日本・イスラエル関係深化に関する共同声明

[場所] 
[年月日] 2008年2月27日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

 エフード・オルメルト・イスラエル国首相は、2008年2月25-28日に日本国を公式訪問した。

 日本訪問中、エフード・オルメルト首相は、福田康夫首相と建設的かつ前向きな会談を行い、両首相は、二国間関係の更なる発展のために以下の声明を発出した。

二国間関係

(1)政治関係

 双方は、あらゆる面における、二国間関係の着実な発展に満足の意を表明し、あらゆるレベルにおける対話と協力の強化を通じて両国間の絆を更に強化していくとの共通の決意を確認した。これに関連して、双方は、2006年以来、両国の首相、外相を含め政治指導者の相互訪問が際立って増加していることを再確認しつつ、ハイレベルの政治対話を継続する意思を表明した。この観点から、双方は、2007年にハイレベルの戦略対話が設定されたことを歓迎した。その第2回会合が、本年中に、エルサレムにて開催される予定である。

(2)経済関係

 双方は、経済関係の更なる発展が日本とイスラエルとのパートナーシップ強化の原動力となるという認識を共有した。双方は、2007年11月にプライム・ミニスター・カンファレンスがテルアビブで開催された際に派遣されたミッションを含め、これまでイスラエルに派遣された日本のビジネス・ミッションの成功を評価した。また、オルメルト首相の今次訪日にハイレベルのイスラエル経済ミッションが同行し、2月26日に東京で日本・イスラエル合同ビジネス・フォーラムが開催されたことの重要性を強調した。双方は、貿易・投資、産業、農業、観光、環境等、幅広い分野において両国間の望ましい協力のための取組を特定することにより、二国間の経済関係を強化するために、共同作業部会を設置し、両政府に更なる検討のための共同報告書を提出することを決定した。

 双方は、二国間の経済関係の更なる発展にとっての両国間直航便の重要性を認識した。

(3)科学技術協力

 双方は、1994年に日本とイスラエルの両政府間で署名された科学技術協力協定に基づき、科学技術協力を強化する決意を再確認した。本年、東京で第4回日本・イスラエル科学技術協力合同会議が開催される。双方は、様々な科学技術分野での共同活動について検討する。双方は、最近の協力関係の発展を認識しつつ、宇宙分野における更なる協力を歓迎する。

(4)外交関係開設60周年

 双方は、2012年が両国の外交関係開設60周年に当たることに留意し、この60周年が、幅広い分野での長年の友好関係を更に強化する絶好の機会を提供するものであるとの認識を共有した。また、双方は、両国国民の交流を拡大することを目的とする様々な記念行事を実施することが重要であるとの認識を共有した。

中東和平プロセスでの協力と「平和と繁栄の回廊」構想

 双方は、アラブ・イスラエル紛争の解決が、中東地域の安定と繁栄の達成に寄与することを再確認した。この関連で、福田首相は、和平条約を締結するために2007年11月のアナポリス会議において再開され継続中のイスラエルとパレスチナ間の交渉に対する強い支持を表明した。オルメルト首相は、2008年末までにパレスチナ側と合意に至るために全力を尽くすとのコミットメントを確認し、福田首相はそのような和平努力に対して必要な支援を提供する用意があることを表明した。この関連で、オルメルト首相は、日本の中東和平プロセスへの積極的貢献、パレスチナ人支援への感謝の意を表明した。

 双方は、平和と安全のうちに共存する二国家の構想を共有し、日本が推進している「平和と繁栄の回廊」構想を、イスラエル、日本、ヨルダン、パレスチナ自治政府の間の緊密かつ活発な協力を得て、着実かつ速やかに具体化するとの強いコミットメントを改めて表明した。この関連で、双方は、出来るだけ早期に、第3回閣僚級四者協議を開催するとの期待を表明した。