[文書名] 日本・モンゴル共同新聞発表
1.2月13日から日本国政府の招待により訪日中のナンバリン・エンフバヤル・モンゴル国首相は、14日に綿貫衆議院議長及び井上参議院議長と会見し、15日に森総理大臣と会談を行った。また、エンフバヤル首相は、16日、天皇陛下に謁見する。
2.森総理とエンフバヤル首相との会談では、冒頭、森総理より、エンフバヤル首相の訪日を心から歓迎する旨述べた。これに対し、エンフバヤル首相は、新政権としても日本との関係を極めて重視しており、最初の外国訪問先として日本を選んだ旨述べ、暖かい歓迎に感謝するとともに、今回の訪問を両国の友好と協力関係を長期的かつ安定的に発展させる契機としたい旨述べた。
エンフバヤル首相は、モンゴルにおける民主化と改革が確固として定着しており、新政権としてこれを成功裏に達成していく旨述べた。これに対し、森総理より、近年の両国関係が民主主義、自由及び基本的人権という共通の価値観に基づき強化されていることに満足の意を表明するとともに、日本国政府のモンゴルに対する改革支援が不変である旨表明した。両首脳は、両国が相互理解と信頼を通じて総合的パートナーシップの確立のため一層努力していくことを確認した。
3.森総理は、モンゴルにおけるたび重なる雪害にお見舞いを述べるとともに、日本として3億円程度の追加的な緊急援助及び中・長期的観点からの協力を検討する旨述べた。エンフバヤル首相は、雪害に関し、先のヘリコプター墜落事故でなくなられたNHKの記者2名に対し、深甚な弔意を表した。また、雪害に対する日本側官民の緊急援助に対し深謝の意を表明した。
4.両首脳は、両国間の投資協定が双方の努力により署名されるに至ったことを歓迎し、同協定が両国間の経済的交流の拡大に資するとの点で意見の一致をみた。また、両首脳は、両国の貿易関係拡大に資するため、本年10月、日本において「モンゴル展」を開催することで一致した。
5.両首脳は、今回、ウランバートル第4火力発電所の改修事業計画に対する円借款の供与及びモンゴル国立大学への印刷機材供与に関する文化無償協力の実施に関する交換公文が行われることに関連し、モンゴルの経済・社会開発における日本の支援が重要な意義を有する旨確認した。
また、両国の経済協力を行う上で環境分野をより一層重視していくこと及びIT分野ではセミナー開催のための専門家を派遣することにつき意見の一致を見た。
森総理は、モンゴルに対する経済協力のより効果的かつ効率的な実施のため、明年度において、モンゴルに対する国別援助計画を策定するとともに、技術協力協定締結のための交渉を開始する用意がある旨述べ、エンフバヤル首相はこれを評価し、交渉の開始に同意した。
両首脳は、青年交流が両国の相互理解を促進する上で極めて重要であることを確認し、モンゴルの国造りに留学生が重要な貢献を果たすことに期待を表明した。これに関連し、森総理は、日本の資金協力を活用し、留学生の受入れ拡大に向けた支援を検討したい旨述べた。エンフバヤル首相は、このような日本のモンゴル支援の姿勢に対して謝意を表明した。
6.両首脳は、国際連合がその役割を十分に果たしうるよう機能を強化することが重要であるとの認識を共有し、特に、安全保障理事会の改革に関し、常任・非常任双方の議席の拡大が国際社会における大多数の国の支持を得ているとの認識の下、今後、改革の早期実現に向け、積極的に協力していく旨表明した。さらに、エンフバヤル首相は、国際平和と安全を守るため具体的な貢献をする能力のある日本国が国連安全保障理事会の常任理事国となることを支持する旨改めて表明した
7.両首脳は、北東アジアにおける対話の拡大と協力関係に前向きな変化が生じていることを歓迎するとともに、同地域における安全保障対話や政治対話の増進が重要な意義を有することに意見の一致を見た。
8.エンフバヤル首相は、今次訪問の成果に満足の意を表明するとともに、森総理の都合のよい時期にモンゴルを公式に訪問するよう招待し、森総理はこれに対し謝意を表明した。