[文書名] 日豪及び日ニュージーランド協会午餐会における田中内閣総理大臣挨拶
岸名誉会長、御列席の皆様
本日は、私のために盛大な歓送会を催していただき、又只今は岸名誉会長より御懇篤なる歓送の言葉を頂戴しありがとうございました。
私は、きたる十月二十八日から念願のニュージーランド、オーストラリア、ビルマを親善訪問いたします。先月私は、米州大陸の首脳と会談して帰国したばかりでありますが、きたる親善訪問も前回に劣らず有意義な、かつみのり多いものになることを信じて疑いません。
ニュージーランドのローリング首相は、惜しくも急逝されましたカーク首相の後をうけて新政権を揺ぎなく運営しておられると承知しております。その政権成立後の最も早い段階に同国を訪れ、同首相に親しくお目にかかり、胸襟を開いて語り合えるのはまことに得難い貴重な機会と申さなければなりません。
豪州のウィットラム首相には、昨年十月に訪日された際にお目にかかり、隔意のない意見の交換を行なう機会を得、啓発される点が多々ありました。今回、キャンベラで再びお目にかかり、一年間の変化を踏まえつつ新たな抱負を述べ、友情を深めることを楽しみにしております。
わが国とこれら両国との関係は、極めて順調に推移しております。しかし、われわれ三国は、今後一層の発展が期待される東南アジアをはさんで、南太平洋に位置している事実に徴しても、更に協力の度合いを深めていかなければならないと思います。
私は、環太平洋諸国が、われわれ三国の協力を軸として、太平洋を文字どおり、平和と繁栄の泉とすることを念願してやみません。
貴協会は長年にわたり、わが国と豪州およびニュージーランド両国との友好親善関係の促進に努めてこられました。今日、両国はわが国の最も親しい友人となっておりますが、私はこのような両国との友好関係の発展は貴協会の地道な努力によるところ大であると信じております。
今後とも貴協会の一層の御活躍と発展をお祈りして私の御挨拶といたします。