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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 三木内閣総理大臣によるアルコム・フレーザ首相(オーストラリア)歓迎晩餐会のおける挨拶

[場所] 
[年月日] 1976年6月16日
[出典] 三木内閣総理大臣演説集,176−177頁.
[備考] 
[全文]

 マルコム・フレーザー首相閣下、同令夫人、アンドルー・ピーコック外務大臣閣下、並びに御列席の皆様

 この度フレーザー首相閣下及び同令夫人、並びに随行のピーコック外務大臣他御一行をお迎えし、今夕歓迎の晩餐会を開くことができましたことは、私の大きな喜びであり、かつ、光栄とするところであります。私はここに日本国政府及び国民を代表し、心から歓迎の意を表するものであります。

 フレーザー首相閣下は、昨年十二月の組閣以来わが国との関係を重視するとの立場をいろいろの機会をとらえて内外に明らかにされました。私をはじめわが国民は、これに深い感銘を受け、まことに心強く感じております。

 皆様も御承知のとおり、日本とオーストラリアとの関係は両国経済の相互依存性を基盤として、近年飛躍的に発展し、双方の生存と発展にとって不可欠な重要性をもつに至っております。今や、オーストラリアとの経済関係を離れて日本経済の存立を考えることはできませんし、同じことは豪州にとっても言えるのではないかと思います。

 これに加えて、日豪間の交流は、近年、政治、文化、社会等多方面の各分野において広まり且つ深まって参りました。このような両国間の幅広い交流は、両国民の相互理解を促進し、相互信頼を深める上で大きな意味をもつものと考えます。

 更に、両国は、ともにアジア・太平洋地域の先進民主主義国としてこの地域の安定と発展に多くの共通の関心と責任とを有しております。

 こうした日豪関係は、将来更に緊密の度を加えて発展していくものと確信しておりますが、これに確固たる基礎を与えるのが、本日午後フレーザー首相閣下と私との間で署名の運びに至りました日豪友好協力基本条約であります。この条約は、長期的観点に立って、政治、経済、文化、社会等幅広い分野における日豪両国の友好協力関係を固い信頼関係の上に更に発展せしめようとするものであり、両国関係に新時代を画するものであると確信しております。フレーザー首相閣下の御来訪は、まさにこのような日豪関係の歴史における新たな一章の始まりを象徴するものであります。

 ここにフレーザー首相閣下及び同令夫人の御健康、オーストラリアの発展と繁栄を祈るとともに日豪関係の新しい時代の門出を祝って杯を上げたいと思います。