[文書名] ボルジャー・ニュージーランド首相主催夕食会における宮澤内閣総理大臣の挨拶
ボルジャー首相閣下、御列席の皆様
本日、週末にもかかわらずこの美しいオークランドにて皆さまより暖かいおもてなしをいただき、有難うございます。
ボルジャー首相閣下
先ほどの閣下との会談で、我々は二国間関係において、アジア・太平洋地域において、また安保理非常任理事国として広く国際社会において協力するとの決意を確認致しました。
私は閣下のアジアとの関係強化への決意に感銘を受けました。日・ニュージーランド両国は、アジア・太平洋地域の平和と繁栄に大きな利害と関心を有しております。私は、世界経済の未来は、この地域のダイナミズムに大きく依存しているものと信じております。
我が国は、成熟した民主主義国としてアジア・太平洋地域及び国際社会において重要な役割を果たしておられる貴国との協力を大切なものと考えております。貴国はまた、百年前世界の国々に先駆けて女性参政権を導入したことで知られております。実は、この極めて重要な事実を私に指摘してくれたのは、私の内閣の女性閣僚である森山真弓文部大臣でした。
ボルジャー首相閣下
私が一九七一年に閣僚として初めて貴国を訪問して以来、貴国を再び訪れ、美しい自然と人々の暖かい心に改めて触れたいと思っておりました。両国関係が大きく拡大したことを今日目のあたりにし、誠に喜ばしく思います。
貿易分野では、ニュージーランド産品の競争力により、貴国は数少ない対日貿易黒字を享受する国となっております。
ここ何年間の間に我が国の対ニュージーランド投資は大きく増大致しました。引き続き着実に投資が増大していくことを希望致します。
これらの経済的な繋がりを越え、人的交流が両国間の相互理解を促進し、友情の絆を築いております。こうした観点から、私はニュージーランドの皆様が日本語学習にたいして抱いている積極的関心を歓迎するものであります。
我が国では、ニュージーランドは優秀なヨット乗りによって有名です。去る二十四日に開始された第二回オークランド・福岡間ヨットレースは、スポーツ交流と姉妹都市交流との組み合わせの素晴らしい例であり、五千五百海里にわたり太平洋をまたぐ橋を架けんとするものです。
ボルジャー首相閣下
まもなく閣下を東京にてお迎えし、両国関係の増進に新たな弾みを与えることができることを楽しみにしております。
最後に、皆様と共に、乾杯したいと思います。女性陛下のご健康のために、ニュージーランドとその国民の皆様のさらなるご繁栄のために、そして日本とニュージーランドの絶えざる友情のために。(英文スピーチ七一七ページ)