[文書名] 日豪パートナーシップに関する共同宣言
日本国内閣総理大臣及びオーストラリア首相は、次のとおり宣言する。
1.戦争終結から50年を経た今日、日豪両国はかつてない良好な関係にある。日豪両国政府は、戦後両国が築き上げてきた緊密な友好協力関係の重要性を再確認する。両国政府は、その基盤の上に揺るぎないパートナーシップを構築することを誓う。
2.日豪両国政府及び日豪両国民間セクターは、それぞれ両国関係の発展のため緊密に協力してきた。1957年に行われた日本国内閣総理大臣及びオーストラリア首相による相互訪問、並びに、同年の日本国とオーストラリアとの間の通商協定及び1976年の日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の署名は、現在のパートナーシップの基礎を確立する上で画期的なものであった。首脳レベルの相互訪問及び日豪閣僚委員会開催を含む活発な対話は、日豪関係に活力と方向性を与える上で重要な役割を果たしてきた。
3.日豪両国は、両国における戦後の経済発展に対する相互の貢献の大きさを認識する。オーストラリアは、工業用原料及びエネルギーの主要な供給者として日本経済に対し極めて重要な貢献を行ってきた。オーストラリアは今日、より広範な分野における先端製品及びサービスを日本国に対し供給している。日本国は、長年にわたりオーストラリアにとっての主要な貿易相手国であるとともに、投資及び技術の主たる配給源であった。日本国は、オーストラリアの国家開発及び経済的福利に対し決定的に重要な貢献を行った。第三国における日豪両国企業間の協力も拡大している。
4.日豪両国政府は、地域的な経済発展及び経済のグローバル化への対応等による両国の経済構造の変化に伴い、二国間経済関係の一層の強化に努める。両国政府は、貿易面での相互補完性を評価するとともに、二国間経済関係の多様化を引き続き推進するため両国間の双方向の投資を奨励することを重視する。
5.日豪両国政府は、両国関係を特徴づける友情の精神を育む。ビジネス、教育、観光、文化の出会いを通じ数十年に亘り培われた人と人とのつながりは、両国関係に多大の貢献を行った。両国は、特に両国の若人を対象とした教育、文化交流を通じ、両国国民をより一層近づけるべく努力する。
6.日豪両国政府は、アジア太平洋地域におけるパートナーとして、同地域の繁栄を促進し緊張を緩和し政治協力を促進するため、同地域の他の諸国と協力する決意である。日豪両国政府は、それぞれが個別にまた協力して、このような目的の達成のために重要な役割を果たす。日本国政府は、オーストラリアの将来をこの地域に構築していくとの同国の決意を歓迎し、また、オーストラリアがこの地域の問題についての不可欠のパートナーであることを再確認する。
7.日豪両国は、両国がアジア太平洋地域における共同体の認識の醸成に対し果たした役割を誇りとする。日豪両国政府は、地域経済協力のための主要な手段としてのアジア太平洋経済協力(APEC)に対するコミットメントを誓う。日豪両国政府は、大阪会合の成功を確保するため緊密に協力し、昨年のAPEC非公式首脳会議で発出されたボゴール宣言の諸目標を実現することにコミットしている。日豪両国は、多角的自由貿易体制の維持・強化及び世界貿易機関の効果的運営について死活的な利益を共有する。
8.日豪両国政府は、アジア太平洋地域の平和と繁栄にとっての基本的に重要な前提として、米国の同地域におけるプレゼンスと戦略的関与に対する強い支持を再確認する。日豪両国政府は、アセアン地域フォーラムにおいて協力し、また、両国間の安全保障対話を一層強化する。
9.日豪両国政府は、大量破壊兵器の不拡散、平和維持活動を含む国際の平和と安全のための国際連合の活動、社会経済開発、人権等の分野において、個別にまた協力して、引き続き積極的に貢献する。オーストラリアは、日本国が国際連合安全保障理事会の常任理事国としての役割を含め国際問題における地位に相応しい国際的な役割を果たすことを支持する。
10.日本国内閣総理大臣及びオーストラリア首相は、アジア太平洋地域協力の力強い推進力となる揺るぎないパートナーシップを構築するというこの宣言の目的を両国政府が全面的に支持することを誓う。