[文書名] 日・ニュー・ジーランド首脳会談後の共同記者会見
一、ボルジャー首相より冒頭次のとおり述べた。
(一)先程行った首脳会談においては、双方の関心のある事項について話し合った。
(二)まず、二国間関係について、日本との貿易額は現在六十億ドルにものぼり、また国別で第二位のシェアを占める重要な貿易パートナーであり、この良好な貿易関係を基に、より緊密な対話をはかっていきたい。
(三)ASEMについては、橋本総理より日本として、また個人(総理)としてアジア側のメンバーとして新規参加の支持をいただいた。
(四)国連改革について、その実現に向け引きき続き努力を行っていくことを確認するとともに、日本の安保理の常任理事国入りを支持する旨伝えた。日本が安保理常任理事国化をめざしていることほ、アジアの強みだと思う。
(五)APECについては、更なる進展に努めるべく、両国のIAPの改善を推進するとともに、それが他のメンバー国にも及ぶよう協力していくことを確認。
(六)気候変動枠組み条約については、重要な問題であり、京都会議の成功に向けて協力することを確認。
(七)太平洋轟国に関する協力については、本年、日本で日・SPF首脳会議が行われることが予定されているが、同会議が太平洋島嶼国と日本のかけ橋となることを期待している。NZからは大臣レベルの出席を予定している。
(八)アジア情勢については、中国との関係では日中関係及ぴ日米中関係について、北朝鮮問題については人道的側面について意見を交換。
(九)最後に、両国が行っている諸改革について意見を交換し、自分からは、最初は大変であるが、必ず最後には良い結果になる旨伝えた。
二、次に、橋本総理より冒頭次のとおり述べた。
(一)到着した際に、ボルジャー首相夫妻に出迎えていただき、また車の中でも良い話しができた。昨年五月、ボルジャー首相と東京で会談した際、NZ訪問のご招待をいただいたが、今回、このような形でNZを訪問できたことは幸せである。また、私の選挙区である倉敷がクライストチャーチと姉妹都市であり、NZは自分にとっても身近なもの。
(二)ボルジャー首相に対し、来年前半に我が国の公賓としてご夫妻ともども訪日を招待し、ボルジャー首相より快諾を得た。その際、ボルジャー首相より、是非富士山に登りたいとの申し出があり、駐NZ日本大使があわてて「その時期には雪があり難しいかもしれない」との和やかな場面もあった。
(三)今日午前、自分(総理)はボルジャー首相と率直な大きな二つのテーマについて意見交換を行った。第一は、二国間関係で、日本とNZは経済交流、人的交流などの面で非常に密接な協力関係にあり、このような友好関係を一層発展させるよう努力することを確認した。我が国は、目下経済・行政構造改革に真剣に取り組んでいるが、この関連でNZの経済・行政改革は我が国においても注目している。
(四)第二は、地域問題と国際問題で、両国はアジア太平洋地域のパートナーとして密接に協力しており、今後ともAPEC、ARF、WTO、太平洋島嶼国支援などで協力を深めたい。特に太平洋島興国支援に関しては、南太平洋大学の遠隔教育に使用されている施設(UPSネット)の改善のための両国間の協力について話し合った。また、ASEMに関し、現況を説明するとともに、特にNZがアジア側として参加できるよう、改めてNZのASEM加盟の支持を表現し、そのためには協力を惜しまない旨伝えた。また、中国、朝鮮半島、南太平洋の情勢などについても意見交換した。
三、引き続き記者団より以下の質疑応答が行われた。
(一)(橋本総理及びボルジャ首相に対して邦人記者より)NZの行政、経済構造改革について、どういう点で日本が学ぶことができるのか、また、ボルジャー首相より何かアドバイスはできるか。
○総理 我が国は、行政、財政、経済、金融システム、社会保障、教育の六つの改革に取り組んでおり、これは、日本経済の活性化を通じ日・NZの経済関係にも発展するもの。なお、日本とNZでは経済改革を行うにいたった背景、経済構造等異なる面があるため、NZの改革がそのまま我が国に役に立つとは考えにくいが、NZの行った大胆な経済改革は、一つの実験として規制緩和等に関し教訓を得るところが多い。アドバイスについては、この後ボルジャー首相がどのような事を言うか興味深いが、過去この関係で意見交換した際には、「マスメディアが、彼(橋本総理)には出来ないと言っている最中が一番のチャンスである」と言っていた。
○首相 経済・行政改革はその国によっても種々の事情があるため一概には言えない。ただし、基本的には、改革は広範で全面的に行うことによって成功するものと思う。
(二)(橋本総理及びボルジャー首相に対してNZ記者より)NZの主要な農産品に対しての市場アクセスを拡大できないのか。
○総理 UR合意を着実に実施することが重要であり、現在我が国においても、MA米の輸入等、農業交渉終了後着実に実施しており、今後も実施していく所存。この過程で、NZの産品の利益となるものもあり、国によって障壁を設けていることはない。逆に、我が国においては、現在UR合意を受けて日本の農業を強靭なものにしていく過程で、日本で良い産品が生産されるのであれば是非NZもこれを輸入してほしい。